作成者:清義明

大人と子供の境界線 / 「SWEET SIXTEEN」 ケン・ローチ 【映画】

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エディプス・コンプレックス(母親に対する少年の独占意識と父親へ対する敵対感情)がひとつの軸。
そこにチンケなガキのシノギから一線を越えて、大人の仲間入りをしはじめる15歳の光景が描かれ、そして16歳の誕生日に、すべてを知ることになるストーリ-テリングがからみつく。
もちろん、この物語の背景は、麻薬・貧富の差・家族の… 続きを読む

歴史マンガシリーズなみ / 「ワルキューレ」 ブライアン・シンガー 【映画】

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血気盛んな青年将校のヒトラー政権転覆話・・・ってところまででしょうか。
実話を忠実に再現するのに忙しく、人間の描き方粗雑になってしまって、あれだけのことを成し遂げようとした人間の深さや苦悩が伝わってこない。
「日本の歴史」とか「世界の偉人」といったような歴史マンガシリーズって… 続きを読む

レーニンの帝国主義論のリバイバル? / 「ザ・バンク 堕ちた巨像」 【映画】

◇「ザ・バンク 堕ちた巨像」公式サイト
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単に資金の貸し借りや両替業務を生業としていた銀行が、金融資本として巨大なパワーを持つと、国家や産業と癒着して、戦争を巻き起こす・・・・これが、かなりおおざっぱですが、レーニンの「帝国主義論」(1917)のシナリオ。
このシナリオ自体、それなりに説得力があるものだが、もちろんそんなに事は単純なわけではない。
この映画は、世界金融危機で思いっきり悪者になった金融資本を、わ… 続きを読む

テーマパークの泥の河 / 「泥の河」 小栗康平 【映画】

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水面に黒い影を浮かび上がらせる「お化け鯉」。
燃える蟹、厚塗りの化粧の加賀まり子演じるの母親、被差別の水上生活者の暮らしの暗部が、このお化け鯉に象徴されているストーリーテリングの中で浮かび上がる仕掛け・・・・なのだが、この映画、二度目に見ても何かしっくりこない。
なんでだろう・・・考えてみる。
看板の赤玉ポートワイン、田村高廣の親父が見ている新聞の「戦後は終わった」の記事、覗… 続きを読む

難しく考えないで観たほうがよいドラマ / 「シリアの花嫁」 エラン・リクリス 【映画】

◇「シリアの花嫁」公式サイト
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映画のあらすじを観た段階では、この映画はてっきりイスラエル側ではなく、シリアなりのイスラム系(またはアラブ系キリスト教徒)がつくったものかと思い込んでたんですが、これってイスラエルの映画協会?か何かが資本出してつくっている映画なんですね。
こういう映画をつくれるイスラエルという国は、ある程度奥深いのではないかと考えました、つくづくと。
ただし、その奥深さや寛容の精神を… 続きを読む

ファンタジーの結論へのもやもや感 / 「懺悔」 テンギズ・アブラゼ 【映画】

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ファンタジーの意匠をこらした非常に不思議な映画でありました。
映画館を出て、それで考える。家に帰って反芻する。翌日も消化しきれないものが澱のように残る。そういう映画のひとつであることは間違いなしです、が・・・。
◇「独裁者」
最初にこの映画の市長?役の独裁者、これは形式上はファシスト丸出しの人… 続きを読む

魂は救済される、例え悲恋だったとしても / 「愛より強く」 ファティ・アキン 【映画】

◇「愛より強く」公式サイト
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ファティ・アキンの映画の基本パターンがまずはある。これを、ギザギザとした破壊衝動の絵の具で塗りつぶしてみた作品。
まずは、ファティ・アキンの物語構造。
ドイツのイスラム世界(トルコ人世界)からはみ出して、遠くそこから逃げるそぶりでありながら、過剰な愛の衝動に導かれてトルコ(故郷)に到達する。
見出した愛に、あるときは太陽に抱かれたように包まれ… 続きを読む

炭酸飲料水 / 「蘇える金狼」  村川透  【映画】

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「ハードボイルド」という世界観が、自分には昔からよくわからない。
ハードであるのは、そうであるべき理由があるはずなのに、それを全部ぶっとばして、すでに『そのように』世界がつくられている。
この用語がかぶせられた映画については、テイストが重要であり・・・というか、そのテイストのみが映画を構築し、さらには、そのテイストは時代に密接に関係しているものが多い。
例えるならば、炭酸飲料。
炭酸飲料はテイストだ… 続きを読む

文革後の中国人を魅了した怪作 / 「君よ憤怒の河を渉れ」 

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横浜黄金町ジャックアンドベティの中国映画特集にて鑑賞。

なぜに中国映画のラインナップにこの映画がはいっているかというと、文化大革命後の開放政策で、はじめて公開された日本映画がコレで、しかも大人気を博したという由

映画は、荒唐無稽。まさしく怪作。筋も仕掛けも凝りに凝っていながらも、おいおいそりゃねえだろう!?という展開で映画ひたすら続く。そ… 続きを読む

疾走するモダン・ラブ / 「汚れた血」 レオス・カラックス 【映画】

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とある映画を観にいこうとして、上映館を間違えた。
そんなわけでたまたまやっていたジュリエット・ビノシュ特集で、レオス・カラックスの「汚れた血」を観ることになった。20年近く前に観た映画である。
映画館の暗闇の静寂に溶け込んだような青に支配された光景と、ひたすら走り続ける登場人物たちを観ながら、その20年に思いを巡らす。
そして、そのうち、今の自分と20年前の自分の速度の違いに気づかざるをえなくなった。
登場人… 続きを読む

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