作成者:清義明

彼が人形を愛さなければならなかった理由 / 「ラースと、その彼女」 クレイグ・ギレスピー 【映画】

◇「ラースと、その彼女」公式サイト
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主人公が人形を愛するようになってしまった事情について少しまとめてみよう。
おそらく、彼が狂気に陥る引き金となったのは、兄嫁の妊娠なのではないかと思う。
出生と同時に亡くなった彼の母と同じく、すべての女性は自分と遠いものなのだ、いや遠くなければならないのだ、そういう強迫観念が、来るべき自分の兄の子供の出生をめぐって抑えきれないものとなった。
つまり彼の心の底では、子供が生まれることにより、義姉が死ん… 続きを読む

現代マンハッタンのフィールドワーク / 「私がクマにキレた理由(わけ) 」 シャリ・スプリンガー・バーマン  【映画】

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民族学を専攻して大学を卒業したスカーレット・ヨハンソンの主人公がつぶやくモノローグがある。
「研究者が研究対象の集団に入り込みすぎて、研究として逸脱することがある。これをすなわち原住民化という。」
「研究者の視点が、往々にして対象集団を変えてしまうことがある。」
往々にして、物事を客観的に見るということにはワナがある。
自分自身をとりまく環境を、あたかも研究者が対象を取り扱うよう… 続きを読む

ドイツとトルコ、キリスト教とイスラム教の横断 / 「そして、私たちは愛に帰る」 ファティ・アキン 【映画】

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犠牲祭(イード・アル=アドハー)をストーリー上の軸として、ドイツとトルコを横断する親子の物語。
放蕩の果てに娼婦を殺してしまう親を持つトルコ移民の子供。
母をドイツに出稼ぎに出したまま、テロリストになってしまった子供。
(たぶんアルメニア人などのトルコのキリスト教徒なのかな?)
テロリストに愛情を感じた故に事件に巻き込まれた子供を持つドイツ人の親。
犠牲祭とは、親と子の物語。
子供を差し出して、神への帰心を証明するものは祝福される… 続きを読む

琥珀色のスモーキーなフレーバー / 「エグザイル/絆」 ジョニー・トー 【映画】

◇「エグザイル/絆」公式サイト
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極上のスコッチ・ウイスキーには泥炭の香りがする。
ブランデーを一度つくった樽を焼き、そこに海草の灰を塗りたくってからウイスキーを熟成させるからだ。スモーキーな香りは、そんな作業から作られる。
ウイスキーの琥珀色。これはまたセピアカラーとも称する。
微妙に血生臭いセピア色に染まりながら、説明を極力省いて物語は進行す… 続きを読む

浅ヤンくらいまで / 「ブロードウェイ♪ブロードウェイ コーラスラインにかける夢」 【映画】

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   あらすじ:
     1975年初演の「コーラスライン」が再演されることとなり、19人のキャストを求め
   3千人ものダンサーたちがオーディションに集まった。
     ダンサーたちの半生を基に描かれたこのミュージカルに、誰もが
   「これはわたしの物語」とキャリアをかけて挑戦。
    4か月後の2次選考では演技や歌の審査もさらに激しさを増し、
   ついに運命となるキャスト発表の日が訪れる。(シネマトゥディ

「友情・努力・勝利」は少年ジャンプの方程式だが、… 続きを読む

アイディアに走りすぎるも・・・ / 「リダクテッド 真実の価値」 ブライアン・デ・パルマ 【映画】

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のっぺりとした独特の間延び感だけを我慢すれば、よい作品かと思う。
テーマも挑戦的だし、ストーリー的なアイディアも豊富。
ただ、ハンディカメラや監視カメラで撮影された映像という設定が間違っていたのかも知れない。PCの画面に動画が流れる画面を延々見せられるのも苦痛。
思い起こすと、同じハンディカメラで撮られた記録というアイディアを使った「ブ… 続きを読む

濡れたアスファルトの路面は男の舞台 / 「デス・レース」 ポール・W・S・アンダーソン 【映画】

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闇の中を、鈍器のようなものが飛び交い、鋼鉄のクルマが走り回る。オープニングからして、鉄工所をリストラされるシーンから始まる、まさに「鉄」がテーマといっても過言でない強力B級アクション。
「鉄は国家である」といったのはドイツの往年の名宰相だったが、映画では鉄は漢のテーマに他ならない。
意味もなくどこかしこの路面も、水に濡れてい… 続きを読む

小さく慎ましやかな佇まいのラブ・ロマンス / 「ブロークン・イングリッシュ」 ゾーイ・カサヴェテス 【映画】

◇「ブロークン・イングリッシュ」公式サイト
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単なるアラサーのラブ・ロマンスと片付けるには惜しい佳作。
丁寧に光と陰影を映像の中に取扱い、心理描写もこれまた繊細。
揺れ動く主人公の心理も適度に抑えた演技のまま。これが悪くない。
テレビドラマのラブ・ロマンスのジェット・コースター的なストリーリーの荒唐無稽さに慣れた女性には、刺激は感じ… 続きを読む

おぼっちゃんの自殺願望につきあえません / 「イン・トゥ・ザ・ワイルド」 【映画】

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ショーン・ペン監督で、アメリカのベストセラー作品の映画化ということで、期待して見に行きましたが、自分には本レビュータイトルのようにしか観れませんでした。
文明社会を捨て自然の中で生活する(イン・トゥ・ザ・ワイルド)ことと、出自に疑問を抱いた末の自殺ごっこが混乱する結末も、心に来るものなし。
なぜこんな作品が適度に評価されているのかわかりません。きっと主人公のポジティブな姿勢が、自… 続きを読む

インド系女性英国人監督の青春ラブコメ / 「ジョージアの日記/ゆーうつでキラキラな毎日」 グリンダ・チャーダ 【映画】

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「ベッカムに恋して」で名をあげた、インド系英国人の女性監督グリンダ・チャーダの学園青春ラブ・コメディ。
年ごろのティーンエイジャーを演じるこの映画の二人は、「ベッカムに・・」にでは、キーラ・ナイトレイとパーミンダ・ナーグラの役回りとちょっと似ていたりしている。
女のコの友情物語ですね。
主人公が、その親友のドレスアップしたヘア・スタ… 続きを読む

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