「127時間」究極の料理人、ダニー・ボイル!


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◇「127時間」公式サイト
素材がシンプルな方が料理人の腕の差が出やすいといいます。
なんというかまあこの映画、ダニー・ボイルが材料一品のみで徹底した腕前と技術の粋を凝らした作品というところでしょうか。
ストーリーは単純で、もうネタバレもへったくれもない内容です。
登場人物ひとりの、殺風景な岩場の裂け目の心理的密室劇。
こんなの普通は映画にならないでしょう。
ところがダニー・ボイルはこれでもかこれでもかと映画の技巧をたたみかけ、編集の巧みさで、CGを使うところはキッチリかつ目新しい風味で使い切り、極めて洗練されたサウンドスケープも忘れることなく織り交ぜる。
この人料理人ですよ・・・。脱帽!
よくよく思い起こせば、ダニー・ボイルって、絶望状況からの復帰をいつもテーマにしています。どんなことがあっても、ここから抜け出してやる!それが不器用だとしても悲劇と紙一重だったとしても。主人公達からはいつもそんな声が聴こえてくるのです。
ドブのような絶望から這い上がる主人公の物語は、『トレインスポッティング』でも『スラムドッグ$ミリオネア』でもそうでした。ある友を失い、あるともを残酷に裏切る物語が『トレインスポッティング』。『スラムドッグ』は成功の代償に兄を失います。
そしてこの映画『127時間』では・・・・。
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映画の邦題やキッチコピーにはろくなものがないのがお約束ですが、この映画の「あきらめるな、未来を笑え」というのは非常にいいと思いました。このコピー、ダニー・ボイルの一連の作品のテーマでもあるわけですね。
この映画を観てすぐに思い出したのはショーン・ペンの『イントゥ・ザ・ワイルド
金持ちのぼっちゃんの逃避行の結末は、打ち捨てられたキャンピングカーの中での餓死でした。
なんとまあこの映画の主人公との違いでしょう。結局、『イントゥ・ザ・ワイルド』の悲劇が凝った自殺ぐらいの意味にしか感じられないくらい、この映画の主人公は凄まじい。

そんなわけで見事なこの映画ですが、やはり小品の趣きにて作られた映画。
ポストプロダクションで成立した映画といってもいいかもしれません。
次作は本格派なのお願いしたいところですが、まあこれは贅沢な客の注文ですね。
FWF評価:☆☆☆☆★

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2コメント

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  1. 127時間 えっ?これって実話っ?

     えらく夏になった、本気で、暑すぎる~~(=^‥^A アセアセ・・・
    【=31 -8-】 TOHOシネマズ1か月フリーパスポート5本目、オープニングではインド映画の香りが・・・でも「最後のみんなで踊り」はなかった(笑)
    2003年4月25日金曜日。いつものように行き先を誰にも告げ…

  2. 映画:127時間

     そのタイトルからどうしても96時間のようなアクション映画を想像しちゃいますよね。でも全く違います。そんな訳で渋谷のシネクイントで127時間を見てきました。
     このシネクイント、前回の半券を持っていくと1,000円になるので、前回見たムカデ人間の半券でお得に見ら…

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