VFXの動物映画 / 『戦火の馬』 スティーヴン・スピルバーグ

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「戦火の馬」公式サイト
黒澤明が晩年に馬について語っていたことがある。
それは現代の馬というのが集団訓練されているものがほとんどなく、合戦シーンで馬を使うのが本当に難しいという話。撮影用の馬をかき集めても数頭しか集まらない。だから合戦シーンで馬はもう使えないのではないかということでした。
そんな黒澤明の懸念はよそに、世の中の進歩は著しく、馬もVFXを駆使すればあら不思議。見事に集団行動で戦闘シーンに参加できるようになりました。
この映画、たぶんアクションシーンのほとんどCGの馬が動いているんじゃないでしょうかね。見た目に全くわからないのが現代の技術というところですか。
しかし、それにしても、重機関銃が4つも5つもならんで一斉射撃するところに、馬群が突っ込んでいって、弾に当たる馬はいても、軽々と機関銃陣地を飛び越えていく馬多数というのはやりすぎでしょ(笑)長篠の合戦の故事を知らなかったのは、『影武者』を撮った黒澤の弟子筋を標榜するスピルバーグならば許されることではなかろうかと(笑)
こういう無理筋の部分は、この映画のちょっとしたディティールのみならずストーリーにまで行きわたっているのだから始末に悪い。
だいたい村の小作人が筋骨隆々たるサラブレットを町で落札したり、ジャム屋のおやじが大金もって突如セリに現れたり、馬と都合よく再会したり、なんだかムリクリのハッピーエンドで合点がいかずキツネにつままれたように映画館を出ることになる典型的なご都合主義ハッピーエンド。
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考えるに、スピルバーグは馬をVFXで動かして動物映画を撮りたかっただけじゃないかと。都合のよい脚本をみつけてご満悦というところなんでしょうが、こちらはたまったものではありません。
馬といえば、『泥の河』や『荒馬と女』の馬はリアルでしたね。最近作の『ニーチェの馬』は観れませんでしたが、まあこの映画の馬よりは伝わってくるものはあったでしょう。

そんなわけで皆さまがこの映画を絶賛されているのを読むにつけ、自分の感覚はねじ曲がっているのではないかと危惧するわけです。
でも仕方ない。これは無理。音楽だけよかったです。それだけ。
FWF評価:☆☆★★★

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1コメント

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  1. 映画:戦火の馬

     スティーヴン・スピルバーグ監督作品だし予告編もすばらしい。期待に胸をふくらませますが、それだけでなく試写会で見た人みんなが感動している。ただ期待しすぎると裏切られるの…

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