カテゴリー: 映画評

「ナッシュビル」 ロバート・アルトマン

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ナッシュビル – goo 映画
1972年、アメリカ大統領候補ジョージ・ウォーレスを狙撃して半身不随にした孤独な男が、「時計仕掛けのオレンジ」に触発されての犯行と語ったのは有名だ。
やがて、この男の手記はポールシュレイダーの眼にとまり、街に蠢く孤独な男の禍々しい暴発として脚本化された。これが「タクシードライバー」として1976年に映画化される。これもよく知られている。
この「ナッシュビル」も、ジョージ・ウォレスの狙撃事件に触発されて撮られた作品と思われる。1975年の作品。ロバート・アルトマンは、まさかスコセッシが正面から、あの暗殺犯の狂気を映画化した物語を撮っているとは思わなかっただろう。… 続きを読む

「落下の王国」・・・じゃなくて「インモータルズ-神々の戦い-」 ターセム・シン・ダンドワール

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「インモータルズ」公式サイト
いきなりなんなのですが、ターセム監督の前作の話から。「落下の王国」。
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映画が神々しく輝いていた1920年代のカリフォルニア。
父親が迫害により殺された東欧移民の子供に、事故により下半身が不随となったスタントマンが、病院のベットでアレキサンダー大王の物語を語り、やがてその世界に二人は入り込んでいく。
そんな物語が、ターセム監督の「落下の王国」。
これは素晴らしかったです。世界文化遺産でロケをした鮮烈で審美的な美しい作品です。… 続きを読む

カッコ悪いことはなんてカッコイイんだろう / 「県警対組織暴力」 深作欣二

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県警対組織暴力 - goo 映画
1975年東映作品。「仁義なき戦い」シリーズが立て続けに5本撮られて「完結」後の作品。
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さて、まずは「県警対組織暴力」というタイトルがややこしい。
ヤクザと癒着した地元の警察が、政治家と癒着したヤクザにひっぱりだされた県警と対決。
警察(地元ヤクザ+地元警察+ノンキャリア)vs警察(政治家+ヤクザ+キャリア)というのが、その対立の構図なわけで、もうなんというか右も左も前も後ろも、それぞれ敵だらけみたいなアナーキーな状況。両方、悪。… 続きを読む

鄭大世の表情を読み取れるか/「TESE」 姜成明

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「TESE」公式サイト

川崎フロンターレのストライカーで、北朝鮮代表となった在日朝鮮人チョン・テセのドキュメンタリー。

テセは現在ドイツ・ブンデスリーガのVfLボーフムの所属。

昨年南アフリカワールドカップでもこの人は北朝鮮代表のフォワード。この映画でも触れられているが、初戦のブラジル戦で善戦したものの、続いてのポルトガル戦では0-7の大敗。

ちなみに1966年のワールドカップ・イングランド大会では、奇跡的な勝利を続けた北朝鮮代表は、前半まで3-0と、強豪ポルトガルにあわやの勝利まで迫ったが、その後、ポルトガルのスーパースター、エウゼビオにひとりで4点(!)入れられて敗退したことがある。… 続きを読む

「刑事ジョン・ブック -目撃者-」 ピーター・ウェアー

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刑事ジョン・ブック 目撃者 - goo 映画
1985年の作品。この映画をテレビで観たのは、もうどれくらい前か。
そのときに気になったのは、どういう吹き替えしていたのか忘れたが、突然ハリソン・フォードが「このコーヒー、最高だね!」とようなことをつぶやくのだ。
厳格な教義ゆえにつつましやかで原始的な生活をしつづけているアメリカのアーミッシュ派の一族である未亡人が、ハリソン・フォードを誘うようなシーンの翌日。ちょっとぎこちなく無口な朝食で、その雰囲気を和らげようとした、彼のちょっとしたジョークというところなのがコレ。しかし、これが笑えない。… 続きを読む

「マネーボール」 新思考派のナベツネ?

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ピンポイントのタイミングの良さで、読売巨人軍の渡辺恒雄球団会長と清武GМとの「内紛」。
決定権限者である自分の頭越しで、せっかく決めた取引や人事をひっくり返されてブチっと切れて、やってらんねえよ!と上司にクビ覚悟の文句を言うようなシーンは、サラリーマン社会ならば、ちらほらと見聞きする話。
ところがこの話は、稀代のワンマン実力者であり球界のみならず、政界や経済界にまで影響力を及ぼす怪物が相手で、しかもそれを相手にするのが叩き上げの経済事件記者あがりのGMだったらからややこしい。… 続きを読む

「アメリカの夜」 フランソワ・トリュフォー

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映画に愛をこめて アメリカの夜 - goo 映画
ゴダールとトリュフォー、二人のヌーヴェル・ヴァーグの旗手の決別の理由は、よくわからない。
ゴダールはカネも原因にあったことをうかがわせるようなことを書いているが、映画のひとつの時代を切り開いたもの同士の近親憎悪的や愛憎裏返しのところもあるのだろう。
死後発表された「トリュフォー書簡集」のなかには、ゴダールのこんな記述があるらしい。… 続きを読む

変容するふるさと 「ウィンターズ・ボーン」 デブラ・グラニック

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◇公式サイト
世界三大映画祭の受賞作品で日本未公開の作品を集めた、三大映画祭特集の上映作品がかなりよかった。
観なきゃならない作品は世界にふつふつと毎日湧いているのであって、そのために一時すらも時間は無駄にしてはいけない!などと映画ファン的な固い決意を、のんびりと喫茶店でコーヒー飲みながら考えるオレ。まあ自堕落な話です。
で、なんでそんな話をするかといえば、そこで観た2つの作品が極めて傾向が似ていたからです。それと、さすがにみなさん俎上にあげている昨年の「… 続きを読む

大洋、水割り、ミステリーの時代の「わたしを深く埋めて」井上梅次

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わたしを深く埋めて - goo 映画
みんなを怒らせろ
」は寺山修二の1965年のエッセイ集。そのなかで、「このごろの流行り」と、新宿裏のスナックの文子さんが教えてくれる言葉が「大洋・水割り・ミステリー」。その心は「大人の味覚」ということらしい。
当時、大洋は智将三原修を監督で5年目。三原魔術と呼ばれたトリッキーな選手起用やサイン盗み、乱数表をつかったブロックサインの導入などを駆使し、何年も最下位に低迷していたこのチームをいきなりリーグ優勝させ、圧倒的不利との予測を覆し4連勝で日本シリーズを制する。… 続きを読む

「女と銃と荒野の麺屋」 チャン・イーモウ迷走中なり

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◇公式サイト
中国版ラジー賞(年間最低映画に与えられる賞)が2010年から出来たそうで、それが「金の箒(ほうき)賞」
その第一回の受賞作品がこの「女と銃と荒野の麺屋」になります。チャン・イーモウみたいな巨匠がこういう賞をとるっていうのも、なかなか面白いもんですね。おめでとうございます(笑)
そのためにストレートアヘッドな純愛悲劇「サンザシの樹の下で」より公開が遅れたということですが、「サンザシの樹の下で」がそれなりに日本の観客に好評だったというところから余勢をかって公開したんでしょうか。… 続きを読む

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