「外国人の犯罪がなければ、日本の刑務所はガラガラ」の真偽を公的資料で検証する

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警察庁によると、国内の外国人犯罪の検挙件数は、平成26年が1万5215件と前年(1万5419件)に比べて微減。ピークだった17年(4万7865 件)に比べて3分の1まで減少している。ただ、平成初頭の数年は6千件前後で推移しており、警察庁は「外国人犯罪は引き続き高い水準にある」と分析してい る。

産経新聞 2015.9.17

 

いつものことだが、こういう数値データはキチンと裏をとらないと恥をかくので要注意だ。ネットには様々な情報が入り乱れており、その中には単に扇動目的のものや、部分的なデータを取り上げて全体を表象するようなものが多いのは、改めて言うまでもない。

例えば、よくみかけるもので「外国人の犯罪がなければ、日本の刑務所はガラガラ」・・・という説がある。

衝撃的事実!日本刑務所の囚人内訳・・32%が朝鮮韓国人、21%が帰化人、33%が中国人、11%が他外国人、 日本人は3%wwwwwwww

アベノミクス速報

という風に、また例によって2ちゃんねるのまとめサイトが主張しているようなのだが、これもものの見事に信用のならないデータの典型である。

以下、これを検証してみることにする。

 

 

検証1:刑務所への収容者の94.0%は日本人

法務省の「矯正統計」の2014年度のデータをまとめると、「刑務所の囚人内訳」の国籍別データは以上のとおり。

※ここにおける「定着居住者」としたのは、外国籍で永住許可や特別永住許可をもっているものや永住者の配偶者などの在留資格をもったもので、そこには様々な国籍が含まれる。
それ以外の国籍で記載されているのは、いわゆる「来日外国人」のこと。警察庁の定義によれば、「来日外国人」とは、我が国に存在する外国人のうち、いわゆる定着居住者(永住者、永住者の配偶者等及び特別永住者)、在日米軍関係者及び在留資格不明者を除いた外国人のことをいう。

 

よって2ちゃんねるまとめサイトのデータは虚偽ということで明白である。

なおこのデータには「帰化人」という数値が入っているので、そもそもこのデータはウソであることが最初からわかる仕組みにもなっているのでありますが。法務省にこのような人権上問題がある統計は存在しないのは少しでも想像すればわかることだろう。

そうして、ネットに流布する「外国人がいなければ日本の刑務所はガラガラ」という話も都市伝説というわけである。

 

 

検証2:刑法で検挙された人の94.6%は日本人

なお、これを裏付けるもうひとつのデータがあったので、これにも注目してみよう。

元警視庁通訳捜査官という方が、自民党の代議士から入手した警察庁のデータとしてアップされていたものである。

 

 

これによると、平成26年に在日外国人(前述の資料における定着居住者のこと)が検挙されたのは全体の2.1%。来日外国人は3.5%。合計で5.4%。
そして日本人は94.6%
となる。

ここでもおおよそいわゆる刑法で検挙されているのは日本人の方であるということがよくわかる。

それでもなお、警察庁がいうように「外国人犯罪は引き続き高い水準にある」ということになってしまうのか。これは外国人の人数に対して犯罪発生率が高いというところから来ているようだ。

2014年現在、日本の総人口は1億2千7百万。急激に人口減少している一方で、外国人の割合は増え続けている。現在、中長期の滞在の来日外国人と定着居住者の合計は212万人。人口比にして1.7%。これは外国人登録を済ませた人たちの数値であるから、実際はもっともっと多いであろう。

この人口比と、先の検挙人員の国籍比を重ねてみよう。

人口比

外国籍の様々ハンディキャップから、ともすれば不法行為に走りがちなのは世界の移民の方々のいわばお約束である。そのため、やはりここでは人口に対しての検挙人員は多いことになる。だが、ここはもう少し細かくみていきたい。

なお本データに関しては、長尾たかし衆議院議員事務所より、確かに警察庁から入手したデータで間違いがないものと、こちらからの問い合わせに対する回答があったことを付け加えておきます。

 

検証3:統計の条件を考える -年齢・性別・職業

統計を丹念に分析するとわかる、単純な条件の違いがある。

犯罪学者の高橋正巳は、大正期から昭和初期の在日朝鮮人と日本人の犯罪数を比較した。

名称未設定 2『日本の犯罪学1・原因1』東大出版会(1969)より

この数字の意味するものは「人口10万に対する刑法犯新入受刑者」である。これをみると朝鮮人って悪いやつが多いんだなと思う。だれでもそう思う。

次に高橋正巳は、当時の朝鮮人人口における男女比、年齢分布、職業分布を提出する。数字は省略する。そして犯罪学上の次の総計的事実を述べる。

男と女では男のほうがたくさん犯罪をやる。

老人子供より壮年者がたくさん犯罪をやる。

貧乏人は金持ちよりたくさん犯罪をやる。

(中略)

そしてこういうのだ。

もし在日朝鮮人の人口の男女比率が日本人と同じであり年齢分布が日本人と同じであり、職業分布が同じであるならば・・・それやこれやの犯罪率の係数をかけあわせて、パチパチと算盤をはじくと、在日朝鮮人と日本人の犯罪発生率はほぼかわらず、したがって朝鮮人がその民族的資質において犯罪的であるわけではない。

『あらゆる犯罪は革命的である』平岡正明

こうして、移民や外国人は犯罪率が高い・・・というデータが、実は合理的に考えれば、「人類は同じ環境におなじ状態におかれたら、おなじ割合で犯罪をやるだろう」という結論になるわけである。

なお本分析で高橋正巳は、戦前に対して、終戦後の一時期にこの性別・年齢・職業による偏差をなくしたうえでも、犯罪率が日本人よりも高くなったことを指摘している。この時期、確かに彼らが民族的な解放感と復讐感情からいわば「超過相殺」に走ったことは残念ながら事実と考えられる。ようするにやりすぎたのだ。

いずれにしても、生活環境やその集団の成員の性質から、単純に統計的に数字が高くなってしまうということはありうるのだ。それが外国人に対する偏見を生む。

おそらく「刑務所の囚人内訳」の国籍別データも、統計的に詳細に検討していくと、男女比・年齢・職業分布で簡単にその「偏見」の原因を明らかにしていくだろう。

なお、アメリカでは移民より非移民の犯罪率の方が高いという分析もある

なお、先ほどの警察庁のように、定着居住者と来日外国人を分類すると、この傾向はうっすらと浮かび上がってくる。先の表のとおり、外国籍の人うち、生活ベースをもった定着居住者(永住者・特別永住者)と、生活ベースが不安定で語学などの基本的な教育がかけている人たちの刑務所の収容者数は倍近く違う。これも環境の違いや性別・年齢による誤差とみなしてよろしいものと推測できる。

このへん日本における移民問題を考えるうえでも大切なヒントになることでもある。

 


 

 

先の2ちゃんのまとめサイトのインチキな数値はともかく、統計データというのは切り取り方によってはいかようにも解釈することができる。その裏側や統計の手法なども含めて、慎重に見極めていかないと、ネットのデマに流されることになりますので、皆さまお気をつけを。

 

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