カテゴリー: 書評

『ナショナリズムは悪なのか』(萱野稔人) -懐疑的に語られた世界共和国の夢-

新・現代思想講義 ナショナリズムは悪なのか (NHK出版新書 361)

自分の考えを整理する意味では面白い本だったので、少しまとめてみたいと思う。

ナショナリズム批判の研究ならば日本でも多数読めるし、共産主義の崩壊以降のナショナスリズムの圧倒的なプレゼンスについて様々な角度から分析をほどこした欧州の研究もある。だが、この書は「ナショナリズム擁護」であり、それが近視眼的な政治論でもなく、日本のナショナリストのような宗教と神話の見え透いた仕掛けで語られるもののではなく、よりによって日本においてナショナリズム批判に用いられるベネディクト・アンダーソンやドゥールズ=ガタリやフーコー、さらにはネグリ=ハートまで持ち出してくるのである。… 続きを読む

『日本型排外主義―在特会・外国人参政権・東アジア地政学― 』(樋口直人)について

日本型排外主義―在特会・外国人参政権・東アジア地政学―

樋口直人氏の日本型排外主義―在特会・外国人参政権・東アジア地政学―をたいへん興味深く読んだ。

おそらく現在の日本の排外主義者(ネット右翼)の研究分析でもっともよくまとまったものだと思う。… 続きを読む

日米開戦はコミンテルンの謀略? 『ハル・ノートを書いた男―日米開戦外交と「雪」作戦』 -陰謀論の検証

ハル・ノートを書いた男―日米開戦外交と「雪」作戦 (文春新書)

「日米開戦はソビエトが仕組んだ」という陰謀論

「日米開戦はソビエトの陰謀だった」という「真実」がネットでは散見される。

「ハルノート」などで試しに検索するとこの手の「陰謀史観」が、その手の人達の大好きな「真実」という言葉とセットになって出てくる。このコミンテルンの陰謀説というのは、戦中から戦後にかけて近衛文麿のような人まで唱えていたくらいだから、それなりに根拠ないものでもないのだが、それにしてもなんというか、この手の「真実」が好きな人が多いことに驚く。… 続きを読む

『歴代天皇のカルテ』 篠田 達明

歴代天皇のカルテ (新潮新書)
歴代天皇のカルテ (新潮新書)

125代の歴代天皇の資料を紐解いて、医学的見地から天皇家をめぐる史実の背景を探らんとする書。
もちろん実際に語られているのは26代継体天皇以降。これ以前は歴史上確実に存在したといえるだけの資料が記紀以外は存在しないし、その中では皆、神話の中の人物らしく揃って長命であり、これを確かに医者の立場から語ることはできないだろう。筆者は医師である。… 続きを読む

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