立川基地のズベ公はウイスキーコークをオーダーする /「野良猫ロック セックス・ハンター」 長谷部安春

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日活ニューアクションのスマッシュ・ヒット「野良猫ロック」シリーズの第三弾。
この作品からは野良猫ロックシリーズのもともとの主人公の和田アキ子がいなくなり、後ろにまわって却って注目された梶芽衣子がピンで立ち回っていくお話となっていきます。
以降、野良猫ロックシリーズは71年の「暴走集団」まで合計5本が撮られます。
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さて、この作品の筋立てといえば、立川の米軍基地のまわりでチンピラ集団をつくっている野良猫(梶芽衣子)と野良犬(藤竜也)のグループの破天荒な暴走と病んだハーフ狩りが、ハーフの安岡力也の兄妹物語と絡み合いながら悲劇となっていく不条理劇です。
もちろん、当時のロックシーンと重ね合わせられながら物語が展開したり、梶芽衣子のワンアンドオンリーなファッションのクールさや、基地の街の風俗や流行の設定などが、この映画の最大の見どころなんでしょう。
とはいえ、基本的には基地映画の典型です。
米兵に姉を犯されて、そのトラウマかインポテンツで好きな女も抱けない藤竜也は、恋人の梶芽衣子につらくあたるだけである。その腹いせなのか、突如、野良犬グループの一人が黒人のハーフに女を盗られたことをきっかけに、立川の街からハーフを理不尽に暴力で駆逐する不気味で残酷な狩りのゲームに熱中するようになる。
ハーフの安岡は、横浜から流れてきた妹を探してこの街に来たが、そのうち野良犬グループの理不尽な暴力に襲われ、さらには梶芽衣子から慕われたことをきっかけに悲劇の歯車を野良犬グループがまわし始める。
基地の街で、性的に優位な外国人に、性的にまで圧倒されている日本人という設定は、もう映画や小説で何度も演じられているものだ。
もちろんこれは占領されつづけている日本の暗喩なのであり、そこで日本人のコミュニティが病に冒されているかのように機能不全となっていて、その中で若者は自滅していくというのが、だいたいの構造。
どういうわけだかわかりませんが、立川・福生という基地の街になると、こういう自滅の仕方が映像化されたり物語化されたりするわけですが、港町のヨコハマ・ヨコスカだと自滅というよりはもう少しファッショナルブルにその占領構造をくぐりぬけていこうという話になっていくのが、この基地映画のお約束。
この映画も時代が量産した物語のひとつなんでしょう。
「野良猫ロック」シリーズの最高傑作の声もありますが、あまりにも占領された基地の街での不具者の狂気(占領下日本人)とハーフ(被差別者)との関係とか、あまりにもハードな話で、事態を収拾するためのラストシーンのむちゃくちゃさともあいまって、自分は評価はそんなには高くはなりません。
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もちろん、梶芽衣子はあいかわらずビューティフルですよ!

池袋新文芸坐の梶芽衣子特集「野良猫ロックvs修羅雪姫」にて。
それにしても、この特集スゴイネーミングですね(笑)

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