写真とインタビューで彼のサッカー人生や私生活までを綴ったファン向けの一冊。
マンチェスターUtdのオフィシャル本で、価格は14.99ポンド(2,000円)。
96年はちょうどマンチェスターUtdがFAカップとリーグを優勝して「ダブル」を勝ち取った年である。
そのまま引用してみよう。
「映画はサッカー以外の情熱だ。いつか自分で映画を撮ってみたいと思っている。そのための才能があればいいんだが、みんなができるものじゃないし、自分にそれがあるとも思えない。けど、どうしてもやってみたいんだ。
いつか映画を撮る日が来ると思う。仲間を集めて、脚本を自分で書いて、ショートフィルムを撮るんだ。どういう風になるかわかるようにね。プレッシャーにならないように自分自身で映画を撮って、頭の中にある映画のアイディアを実現するんだ。想像しているように出来ればいいんだけれどね。難しいことかもしれないけれど、少しでもそうしてみたいんだよ」
俳優についても次のように語っている。
「最近の映画なら、俳優としても人としてもミッキー・ロークが好きだ。権威や名声に反抗することが、自分自身を追いこんでにしまっているときでも、彼はいつも自分に忠実だ。どんな役を演じようとも、自分自身を失わない強さをもった俳優が大好きだ。映画の好きなところはそんなところだ」
カントナの映画好きは本物だったようである。
この写真集が出た翌年、「トッププレイヤーでないならやめる」との公約通り、マンチェスターUtd在籍5年で4回の優勝をキャプテンとして果たしたから、あっさり引退。
ただし、サッカー界の「キング」といえども、映画ではどうなのかというと、やはり往年のサッカー名選手が映画に出てくるというところから、脱し得なかったようでもあり、監督作品はここまで。
役者としても、先の写真集のインタビューとおり、「自分を失わない強さ」をもった俳優ではありますが、まあ、そりゃカントナはカントナだからなんともしようがないですよね、俳優としても(笑)
本作品、一昨年の東京国際映画祭で、どうしても観たくて友人の伝手でチケットを手に入れた。カントナが主演の映画ということもそうなのだが、監督がなんとケン・ローチというところにもひかれたわけです。そして、プロデューサーもカントナ。
そうして観てみれば、これがケン・ローチかというようなハッピーエンドなお話なわけですよ。
自分自身を出演させる企画がありき。それをプロデューサーとして、きっとケン・ローチをひっぱってきたんでしょう。まあ、これがご愛嬌というか、ほんのり優しく楽しいアイドル映画の風情なのです。
カントナは5年間マンチェスターUTDに在籍しましたが、その頃はこのチームが絶頂期に駆け上った瞬間でありました。
今では、「プレミアリーグ」としてイングランドのサッカーは人気なのですが、90年代に入るまでは低迷期。ところが、アレックス・ファーガソン体制にカントナが入ってから、快進撃を始めました。暴れん坊のフランス人が、突然マンチェスターの7番の選手になり、しかも優雅で華麗なプレイで勝利のど真ん中に君臨する光景。
ちょうどその頃、この映画のもう一人の主人公、カントナと同じ名前のエリック親父は、きっと20代くらいだったのでしょうか。疲れきってノイローゼになる初老のエリックの前に、その頃のヒーローだったエリック・カントナが突然現れるのです。きっと、この親父も、冒頭の写真集は持っていて、今でも時折開いていたりするんでしょうね(笑)
こんなベタなアイドル映画の筋立てはどうなのよ(笑)ってなもんです。
ラストの旧ルパン三世(TV第1シリーズ)を彷彿させる、ドキッ!カントナだらけのクライマックスなどのお遊びも、本当にケン・ローチも悪ノリで楽しみながら撮ったと思えますよ。
現在は、メジャーリーグサッカーのニューヨーク・コスモスの強化部長を勤めているとのことだが、映画への情熱を失っているわけではなさそうで、自分が考えるに、本作品「エリックを探して」で、プロデューサー業に目覚めて、そっちの資金稼ぎに入ったのではないかと思ったりするわけです。
楽しめました。良い映画です。
FWF評価:☆☆☆☆★
コメント
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ユニ襟立て着こなしと言えば、カントナだったなあ、懐かしい。
癇癪持ちの、フランス野郎。カッコ良かったっけ。
関係ないけど、ますたろーはもう音楽の話とか、昔話は飽きたの?
俺、前から好きだったんだけどね、ますたろーの音楽話と昔話。
アレ読んだおかげで、随分とCDやレコード買ったよw