カテゴリー: サッカー書評

ビジネスとしてのプロ野球とJリーグはいかに相互に影響を及ぼしあったのか -『巨人ファンはどこへ行ったのか?』を読む

 

巨人ファンはどこへ行ったのか?という本で少しインタビューを受けた。4/7発売。著者は雑誌「野球小僧」「野球太郎」の元編集でライターの菊地高弘氏。見本刷りが献本されてきたので初めて通読させてもらったのだが、これがなかなか面白かった。

以下、つらつらと本書に読んでみて考えたことを書いてみる。

この本は、「日本国民1億2000万人のうち、8000万人が我々を応援している」(長嶋茂雄の1994の発言)と言われた巨人が、気づいてみると昔ほど人気ではないし、巨人ファンというのも減っているのはどうしたわけなのか、という疑問とそれに対する様々な答えを見つけていこうとするものだ。… 続きを読む

『エアインタビュー』問題の本質 -サッカーメディアは「エンターテインメント」か「ジャーナリズム」か

台風は去ったのに、サッカーメディア業界のごくごく端くれにいる筆者のまわりはいまだ暴風域である。なんのことかといえば、現在、ネットを騒がせている『エアインタビュー』問題である。

詳細は以下のサイトをご覧いただければわかるのだが、背景も含めて、まずはざっとあらすじだけまとめてみる。

 

『エアインタビュー』告発キャンペーン

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「サッカー専門誌「エア取材」横行か――作家の検証と告発」 より

 

フットボール批評issue12 今年の春、『フットボール批評』誌にて、海外サッカー雑誌のインタビューのかなりのものが、実際はインタビューしてない『エアインタビュー』などではないかという疑惑が記事になった。… 続きを読む

欧州きっての「左翼」のサッカークラブ、ザンクトパウリとは -ハンブルグの海賊の「政治とサッカー」

 
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独ブンデスリーガの二部のザンクトパウリというチームが注目を集めている。

理由は二つ。ひとつはJリーグを飛び越えてイングランド・アーセナルからプロ経験を始めた注目の選手、宮市亮選手が所属していることから。もうひとつの理由は、このクラブチームのチームのエンブレムが海賊のようなドクロであること。

このクラブチームについては、日本でもいくつか解説されることがあるのだが、それがどうも「パンクスが熱狂的なサポーター」であるとか「反体制を売りにしたチーム」などということが書かれていて、どうにも歯がゆい。… 続きを読む

サッカー vs 国家 フットボールカルチャーと対抗運動 :『アナキストサッカーマニュアル』著者トークショー

アナキストサッカーマニュアル: スタジアムに歓声を、革命にサッカーを

ワールドサッカーシーンにおける左派ムーブメントを網羅した、稀代の奇書アナキストサッカーマニュアル: スタジアムに歓声を、革命にサッカーを

その著者ガブリエル・クーンは、世界を旅してサッカーにおけるオルタネイティヴシーンを渡り歩いている人なのですが、どうやらまた日本にやってくる模様。

もともと、この『アナキストサッカーマニュアル』の出版は日本に縁があったりする。

クーン氏が自分でまとめていたこの著書のもとになるレポートを、日本のサッカーオルタネイティヴな人たちに見せたところ、これを翻訳して小冊子にして配布したいという話になり、それならばもっとまとめて書きたい!と分厚い本になるだけの原稿が追加され、こうして大著となって出版されること相成った。… 続きを読む

『狂熱のシーズン -ヴェローナFCを追いかけて』 決定的サポーター・ノンフィンクション本

狂熱のシーズン―ヴェローナFCを追いかけて
エラス・ヴェローナFCが、セリエAに復帰した。

2002年に降格してから12年ぶり。一時はセリエCまで降格。その間にセリエCは「レガ・プロ・プリマ・ディヴィジオーネ」と名前を改めている。そのディビジョンにも4年。長いイタリア下部リーグのドサ回りを経て戻ってきたセリエAの初戦、なんとACミランに大金星をあげている。

同じ地域には、どちらかというとインテリジェンスを感じるクラブマネジメントをしているキェーボ・ヴェローナがあるが、歴史は断然にヴェローナFCのほうが長い。しかし、2002年にキエーボが昇格してくると、一年だけともにセリエAで戦うが、入れ替わるようにして降格。以来、ヴェローナダービーは開催されていない。今年が12年ぶりのダービーマッチだ。… 続きを読む

『サッカー代理人 (日文新書) 』 ロベルト・佃さんのおしごと

サッカー代理人 (日文新書)
サッカー代理人 (日文新書)

ロベルト佃について

・95年に当時のソラリ監督の通訳として来日。そのときのGMは森孝慈。

・父親が日系人、母親は日本人。アルゼンチンでは同時通訳の仕事をしていた。スペイン語・日本語がネイティブスピーカーなのに加えて、英語・イタリア語・ポルトガル語・フランス語の6カ国語をマスターしている。

・この当時のマリノスはディアス、ビスコンティ、サパタ、メディナベージと4人のアルゼンチン人選手(全員代表歴あり)がおり、かつソラリのコーチもアルゼンチン人だった。… 続きを読む

『ゴドビ革命』

ゴトビ革命
◇『ゴトビ革命

これを入手したのはまだ清水が連敗中だったとき。早く読まないと解任されてしまう!とばかり他の本と並行して読み始めましたが、なんか大丈夫そうですね(笑)

UCLAの工学部卒のウルトラエリートが、なぜか自分でサッカー教室やりだす。

まずはこの変わり者?がゴドビ。

最初はひとりだった生徒のサッカー教室は3年で生徒1000名超。

全米でも屈指の規模にあっという間に育ち、ここからアメリカ代表が多数輩出。… 続きを読む

「ナポリのマラドーナ」 北村 暁夫

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サッカーは中心のない空虚なゲームである。

勝敗は絶えず繰り延べされている。勝ったチームには明日の試合が待ち構えており、カップや盾を勝ち取ることは、絶対的な意味をなさない。歴史はテキストに書かれたところにだけある。その中心にいるものにとっては、唯一明日のゲームが永遠に待ち構えているということだけだ。

しかしゲームそのものは、中心をもたない「遊戯」であるからこそ、様々な意味を付与される。そこには、人生や文化や共同体の行き場のない熱情がいつも渦巻いている。… 続きを読む

ネオナチと極右の草刈場となったサッカーと音楽 / 「ネオナチと極右運動-ドイツからの報告」

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1990年代前半のドイツにおけるネオナチおよび極右運動について概括的にまとめられた書籍。表紙がなんともはや独自のセンスなのではあるが、中身はそれなりにまとまっている。
ヨーロッパにおける極右主義は、白人以外の移民や旧植民地の人々との民族的な混交が進むにつれ、右肩上がりの状況になり、例えば近年のフランスのルペンのような存在も生み出している。
データはかなり古いのであるが、例えば1992年における欧州各国の議会に占める「右翼」の議会占有率は以下のとおり。… 続きを読む

“イスラエルの攻撃に対応するために、われわれはサッカーで闘う” 「地図にない国からのシュート」書評

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「サッカーを政治の道具に使うな」といわれることがある。しかし、物事はそんなに単純なものなのだろうか。

「試合前の国家斉唱の際の、君が代の大合唱を取り上げ、ナショナリズムに結びつけ、健闘した日本代表を称える姿をプチ・ナショナリズムと語る人々が現れる一方で、批判もなく日本バンザイというような言葉を導き出す報道もいくつかあった。」(本書より)

サッカーとナショナリズムの関係はそもそも親密であるのだが、それが簡単に否定したり簡単に肯定できないのは、そもそもナショナリズムの難しさがあるからだ。… 続きを読む

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