パニック映画の機能美「コンテイジョン」/スティーブン・ソダーバーグ

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「コンテイジョン」公式サイト
スティーブン・ソダーバーグのクールな作風に慣れてない人には全くオススメできません。
シネコンの娯楽作として、パンデミックの恐怖をエンタメ化した作品を想像した人にも難しいでしょう。この作品にはお涙もありません。さらには恐怖すらもそんなに描きこまれてません。けれど秀作です。いかにもソダーバーグらしい作品。
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俳優ですらそんなに感情移入させないように、さらりと書いていきます。パタパタと死んで行くのです。マリオン・コティアールなどは、最初にちょろりと出てきて、最後まで出てきません。
ケイト・ウインスレットは疲れた顔でオロオロしているだけで、あっさりゴミ袋に包まれて死んでいきます。(これには驚きました)
ジェニファー・イーリーは、ギョロギョロとしたお目目で使命感に燃えた研究者として大活躍するわけですが、これもいたって淡々。
悪く言えば感染予防のための教室ビデオのような静謐に包まれ続けています。しかし、映像はこれがまた美しい。隅々までよく撮られている。だから、中途半端に物語性が入ってしまったところをどのように受け取るかで評価は決まりそう。
自分は映画の機能美を見出したりします。工場の配管が機能的で美しいとか、本屋さんに並んだシリーズものの背表紙が並ぶ色合いの整合性とか、PCの基盤の幾何学模様のかっこよさとか、本質とは違う美しさ。考えてみると、最近のソダーバーグはそんなのばかりですね。「ガールフレンズ・エクスペリアンス」のクールさにもびっくりしましたが、こちらにもびっくりです。
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映画に、ジェットコースターのようなスリルを求めるひともいるでしょうし、涙を流すことを快楽とする倒錯した感情をもつ人もいるでしょう。そういう映画の楽しみ方の種類のひとつに映画の機能美があるかと思います。この映画はそういう映画です。うまいなーと唸ります。なんというか、それまでの映画っちゃそうなんですけど(笑)

ヘンなことも思い出しました。「TSUNAMI-ツナミ- – goo 映画
」という韓国映画が昨年ありました。
もちろん東北大震災の前ですよ。2009年の韓国映画でソル・ギョング主演。たぶん日本では地震での被害に配慮してもうDVD化もされないんでしょうけど、東北大震災の映像やら被害の実態を見聞きするにつけ、この映画は観ておいてよかったと思いました。
最初に観たときには、こんな「メガ津波」あるわけねーだろ!と思っていたのですが、なんと東北大震災の津波映像はこの映画そのまんま。これには驚きました。
きっとこの映画をつくるきっかけとなったのは、数年前の豚インフルエンザのことがあったんでしょうけれども、きっとまたこういうレベルのパンデミックはやってくるでしょう。そのときに、この「コンテイジョン」を観ておいてよかったと思うときも来るかも知れません。きっとそのときは、この映画と同じく、不気味に淡々と事態はわれわれに降りかかるでしょうし、そのときに必要なことはなんなのかもわかるかも知れません。
FWF評価:☆☆☆★★

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2コメント

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  1. 映画:コンティジョン

     バイオもの好きなんですよね。少しだけですが大学時代や仕事でも携わったことがあるからでしょうか。アウトブレイクがとてもおもしろかったと言うこともありますけれど。と言うわけで、久々のバイオものの映画、コンテイジョンを見てきました。。

  2. 映画「コンテイジョン」  感染恐るべし!! (lll゚Д゚)

    コンテイジョン観ましたよ~(◎´∀`)ノ この時期インフルエンザ、ノロウイルス等

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