「イスラム原理主義者は、ムスリムの教えを信じるものか、異端として排除するかのどちらかだ」というようなセリフが出てくるんですが、もともとイスラム経は、キリスト教やユダヤ教を同じ神をもつものとして、それなりに尊重しているし、その信仰をやめさせるようなことはありえない。
そんなのは初歩の初歩で、ちょっとでもイスラム教やアラブの歴史を知っていれば、そんなセリフはつくれない。
モハメッドを最後まで保護したおじさんはキリスト教徒だったし、メッカでの迫害のために非難していたのも、当時キリスト教の影響下にあったエチオピア。
それでも出てくるのは、このセリフを言っている人はバカですよーと作り手が強調したいのか、それともなければ、対テロ戦争のプロバガンダ映画ということ。
で、この映画は後者ですね。
ヨルダン(キリスト教徒もユダヤ教徒もたくさんいる)で知り合って恋愛に落ちる女のコを、白い目で見る人々の描写もどうなのかと。ヨルダンあたりなら、こんなことは普通のことではないかと。
通り一辺倒、まさにステレオタイプなアラブの人々、そして保育園?に送りにいくついでにハンズフリーマイクで、ヨルダンに携帯から電話して命令を下す・・・このへんのシチュエーションは面白かったんですが、基本的にはイスラム原理主義者(と潜在的にはイスラム教徒全員)=敵という視点ですね。もうあきましたこういうのは。
「その男、ヴァンダム」という、映画好きと映画俳優をテーマにした映画で、レンタルビデオ店の店員のアラブ人が、「あんなアラブ人はいねーよ!(笑)」的に、こういうステレオタイプな映画をあざ笑うシーンがあるんですが、すぐにこの映画思い出しましたよ。
そんなわけで、一生懸命がんばってつくって、ディカプリオも傷だらけになりまくって、最後は拷問うけて指まで潰されちゃうのに、白々として帰って参りました。
ヨルダンの諜報組織のボスはかっこよかったかな。それぐらいです。バンバン打ち合って、ハイテクCIAに感動して、それで満足できる人ならおすすめしますけど。
FWF評価: ☆☆
こういうムスリムの書き方にはうんざり / 「ワールド・オブ・ライズ」 リドリー・スコット 【映画】
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