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みゆきとタッチとサイタマノラッパーが、ドーン! / 「ランニング・オン・エンプティ」

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あだち充の「みゆき」は、両親が別で、血のつながらない兄妹が二人だけの同居生活をしていくという、ほのかな近親相姦のタブー侵犯のスリルを、その重いテーマと裏腹に、魅力的なキャラが緩く綴っていくラブコメ青春マンガ。
さらに、同じあだち充の「タッチ」は、優秀な兄と出来のよろしくない弟と、ふたりのあいだに揺れ動く女子高生を巡る、三角関係の恋愛を背景にしたスポーツドラマ。このドラマでは、兄は事故により亡くなることになる。
80年代に圧倒的な人気をはくしたこのコミックが、現代風にさばけた女の子(みひろ)に軸をうつして、京浜工業地帯を舞台にするとこんな風になるのかな。
京浜工業地帯が舞台だから、「みゆき」の家庭のように、父親が海外に赴任で、兄妹二人だけで裕福に暮らして・・・という風にはいかない。昔ながらの一戸建てに着物姿の頑固親父が、近親相姦タブーに立ちはだかり、最後はアメリカン・ニュー・シネマのように結末はショットガン。
公開初日の池袋シネマロサの舞台挨拶で監督は、みひろの配役が決まってから、キャラを少し変えたと話していたが、前半は、みひろの映画女優としての出世作といっていいだろう「SRサイタマノラッパー」の地元に戻ってきた元ヤンのAV嬢のイメージをそのままもってきているかのよう。
そして、これが混乱のもと。
始まってから劇の2/3は、遠くでいつもビルの杭を打っている重い金属音が鳴りひびくなか、軽いキャラの二人の痴話と貸したカネを巡るドタバタが物語のほとんど。
やっと、あのリドリー・スコットがインスパイアされて、ブレードランナーの美術に取り入れたといわれるヨコハマ根岸の重化学工場の夜の光景が、デジタルカメラならではの光の輝きかたで登場するようになってから、突然、元の映画の構想を思い出したかのように、突如物語的に落下する。
みゆきとタッチとサイタマノラッパーが、ドーン!
着地はうまくいかなかったようだ。
浅い主人公たちのガキのじゃれあいから一歩も出ぬまま、突然、現実感を欠いたショットガンの結末でストーリー暗転して、観客を突き放すように終了するというのは、ひとつの映画的なアイディアとしてはアリなのかもしれないのですが、タッチとみゆきとサイタマノラッパーで延々やられて、最後にアレですと、いったいどうなんでしょうかねえ。
監督は、舞台挨拶でやけに軽い口調で、この映画は人間とは何ぞやという
ところにこの映画で触れた、と、全く月並みで映画なら当たり前のことを上映前に語ってましたが、あれはネタではなく、ガチで言ってたんですね。
それでこの映画なら、どうなんでしょうかねえ。
出てくるバンドも現実感ありません。ドラマーがスティックもってあんなヘタクソな動かしかたしたらダメです。萎えます。
最後に、言いところを書きましょう。
ブレードランナーの工場を背景にドリー撮影なシーンはまあまあでした。
先にも書いたとおり、デジタルカメラだと、あの光は実に綺麗に発色しますね。
ラストシーンのクルマのフロントガラスからの朝焼けを延々長回ししていくアイディアもよろし。

監督は次回作は頑張ってください。
それから、みひろは、「サイタマノラッパー」であれだけいい役がこなせる女優になれるのがみんなわかったのだから、オッパイ出すのが便利的な使われ方は本当にやめたほうがよいかと思います。
自分は高く評価している女優のひとりなのです、この人。
FWF評価:☆★★★★

コメント

  1. 村石 太2382号号名古屋 より:

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    あだち充さんの 作品は 雑誌で読んでいたなぁ。さわやかな青春漫画 強烈な感じが ないのかなぁ 私としては。面白かったですね。飛んだカップルというのも凄く流行ったなぁ。 みひろさんは 元アイドルかなぁ アダルト 濡れ場ですか 芸能人は きついなぁ みひろさんの sukepan刑事が おもしろかったなぁ

  2. バーバリーブラックレーベル シャツ

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