あらすじ:
“ナチスのオーケストラ”と呼ばれたベルリン・フィルハーモニー管弦楽団。
ヒトラー政権時に一時国営化され、プロパガンダに利用されることになる。
退団したユダヤ人メンバーのことや、ナチスの党員だった数人のメンバーのこと。
そして外国への慰問演奏会などについて、当時の楽団員が貴重な証言をする。
シネマトゥデイ
ディレクターズカット版の公開に寄せて、サンチェス=ランチェ監督は次のようにコメントしている。
「観客は、いつの時代もまた、この複雑なテーマに心をかき乱されるでしょう。もしかしたら、ひとつの問いが心の中を反復するかもしれません。自分だったらどうしただろうか?」
以上のようなコメントのとおり、私たちは自分と向き合うことが必須となるテーマのドキュメンタリーです。
ナチス・ドイツは、国民の投票によって作られた政権です。ユダヤ人排斥は、国民の熱狂的な支持を得たからこそ恐ろしいパワーを発揮したわけです。ベルリン・フィルにはナチス党員が5人いた、彼らを戦後追放した云々の語りの空々しさは、この映画の空々しさであり、それを否定的に受け取る以外に、このような歴史を再び繰り返されるのではないか。
芸術が無垢であり、人々を勇気付ける存在だったに過ぎない、我々は無力であった・・・そんなエクスキューズの「嘘」を、監督はどこまで捉えられたか。
一端は見えたか、というところまでのドキュメンタリー。
不満のほうが大きい。
なお、最近のドキュメンタリー映画のインタビューシーン、椅子に座った対象のバストカットの紋切り型は、ひたすら萎えるのだが、なんとかならないもんでしょうか。。。
それと、ベルリン・フィルの音も、もう少し丁寧に取り扱われてもよいのではないか。ただの記録映像のつなぎあわせで出てくる音ばかりなのが残念で、もっとストーリーや描写にからめてもよいのではないかと。
FWF評価: ☆☆
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