レナード・シュレーダーの不可思議 / 「ションベン・ライダー」 相米慎二 【映画】

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相当に古い記憶の中に沈んだままだった映画だったので、筋も何も覚えているはずもなく、ただ河合美智子の熱演と乳首ポロリくらいしか記憶になかったこの映画。
横浜黄金町のジャック&ベティの黄金町映画祭のプログラムの中の「横浜にちなんだ映画」の1タイトルとして上映されていたため、再鑑賞。
今見ると、本当にがんばった映画だということがはっきりわかります。
映画をつくるというのは、これくらいまでやることなんだ!というシーンの連続。さぞや子役だった、河合美智子、永瀬正敏や坂上忍は鍛えられたことでしょう。
暴風に容赦なく叩きつけられる雨のように、演技が画面にべったりとこびりついて物語が進行していきます。それが徹底的に続いていく冒険映画ですが、何か奇妙な閉塞感を同時に感じます。
監督のテーマは、その閉塞感を、多少現実感が伴わないまでも少年たちの冒険のパワーで打破するというものだったのではないでしょうか。そのパワーは確かに映画にかなりの強度を与えています。
さて、この作品の脚本がレナード・シュレイダー(妻であるチエコとの共同)の脚本であることに、いまさらながら気づきました。
この人、名作「太陽を盗んだ男」や、三島未亡人の許可が下りず未だに日本では未公開の「ミシマ」の脚本、本国では上映できなかったドキュメンタリー「アメリカン・バイオレンス」の監督。
あの「タクシー・ドライバー」の脚本家ポール・シュレイダーの兄でもあり、兄弟そろって親日派であることも知っていましたが、まさか『ションベン・ライダー』まで脚本を書いているとは。。。。
それで、本人のフィルモグラフィーを見てみると、なんと寅さん(「男はつらいよ 寅次郎春の夢」)の脚本までやっているですね。
まあ、寅さんを広義のヤクザ映画とすることもできますが、それにしてもなんというストライクゾーンが広いバッターなんでしょう。
『ションベン・ライダー』もヤクザ映画というくくりにまとめることも出来なくはないので、もしかすると脚本自体はそちらの方に向いていたもので、それを相米パワーで子役の冒険に焦点をあわせていったのかも知れませんね。
この映画にストーリーと画面の役者の演技に、奇妙なズレのようなものを感じざるを得ないのですが、原因があるとすればここにあるのではないでしょうか。
なお、レナード・シュレイダーの公式サイトには、アメリカのフィルムコメント誌に寄せた蓮見重彦の『ションベン・ライダー(英題”P.P Rider”)』の評が引用されています。
-(日本の)スタジオシステムの崩壊と「新しい」ニューウェーブの潮流の中で、相米慎二の作品は極めて重要である。ごく少数の高い評価とは別に、最初の彼の傑作である「ションベン・ライダー」は子供向けのエンターテインメントとされている。「跳んだカップル」から「ションベン・ライダー」に至るあいだに、相米慎二は時限爆弾をセットした。それはいつか爆発することになるだろう。両作ともに、ティーンエイジャーが、家族が崩壊した中にうごめき、そして大人は決して解決をもたらさない。-
なるほどねえ。

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