◇「グッド・バッド・ウィアード」公式サイト
「こんなことも、あんなことも、オレたちは出来るんだぜ!」
映画のエンディングロールに添えられている撮影シーンのスナップショットの向こうから、そんな自慢気な自負の声が聞こえてくるかのような映画です。
確かにこの映画は凄いです。基本的に、アクション映画のジャンルで、もう日本は韓国に全く負けていますよ。なんとかなんないですかね、この現状。まあ、別に勝ち負けの問題じゃないんでしょうが。
満州の夏・・・「石原大佐」がいる満州ならば、たぶん1932年でしょうね・・・に、朝鮮を離れて相成った馬賊や賞金稼ぎや盗賊の、いわゆる「大活劇」の映画です。
登場人物石原莞爾は、中国東北部に新しい多国籍国家の成立を夢見て作り上げた国家が満州国。この人種民族混交の文化背景をうまく使って、キッチュやごちゃまぜ感をうまく映像に仕立てあげています。
満州の凍土が夏になると西部劇の荒野と同じ風景になるというのを発見したのは、アイディアですね。
この映画は、これでもかこれでもか、と映画の仕掛けのアイディアが畳みかけられます。
(日本に併合されて)国をもたず、たどりついたのが荒野の黒竜江州(と思われます)で悪事に手を染める男達と賞金稼ぎのタフな生き様、設定はとてもいいです。
こういうタフな男が満州で暴れる話は、戦後しばらくはたくさんあったんですがねえ、日本でも。破天荒な冒険大陸映画で男が試される・・・それが今では、小さな日本国内に、ただひたすら痩せた男が膝を抱えて悩んでいる、つまんねえディティールのみで映画が成立していく・・・そんなのばっかりですよ、日本映画は。
馬上シーンは素晴らしいですし、銃撃戦や刃物のシーンは韓国映画ならではのノリで、それを追う凝ったカメラワークも素晴らしい。
主人公3人のキャラづくりもよいですし、笑いもうまく効かせて、そこまでは言うことなし。
まあ、ただ終結に向かうあたりから、物語の手じまいが今ひとつ。
なんだ、こういう風に3すくみで全滅ですか・・・そんなところが不満です。
宝の正体のオチも、ここまで大がかりの追いつ追われつをやるならば、もう少し焦点を効かせてほしかった。
韓国のアクション映画は、本当にホレボレする程、映画好きパワーが結集した密度のクオリティで感心させられますけど、まあ、筋立てが今一つなのはいつもなんで、まあいいかな、という感じではありますが。
役者の魅力にフォーカスしすぎてしまうのがいけないのかな。
音楽もよかった。
Don’t Let Me Be Misunderstood(悲しき願い)が流れてきたあたりはニヤリとさせられましたよ。
ただ、なんだあれ、オレンジレンジ?ですか。
あれは余分だな。せっかく世界に入り込んでいるのに興ざめです。
FWF評価 ☆☆☆
こういう破天荒な大陸映画があったよなあ /「グッド・バッド・ウィアード」 キム・ジウン 【映画】
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