吸血鬼のメタファーはどこへ / 「渇き」 パク・チャヌク

◇「渇き」公式サイト

ホラー映画は苦手です。
だから、そもそもこういう映画を「オールド・ボーイ」の監督がつくってしまうこと自体が残念です。そこまで暴走してしまっては、よろしくないでしょう。
そんなわけで吸血鬼の物語です。
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後半から、物語は少しずつ転移していくのですが、そこからは特に観てられない居心地の悪さです。
コミック調の奇想天外が魅力で、それに韓国映画のターボエンジンでうなりをあげて加速していく前作に比べても、さすがにこれはやりすぎ感でいっぱいです。
いいところをまずは書きましょう。
ひとつひとつのシーンのアイディアは相変わらず秀逸で、特に女優のキム・オクビンの前半魅せていた切なさや、秘めた自分の欲情のようなものとの葛藤のシーンは絶品でした。
この監督は女優の演じさせかたが抜群にうまいですよね。
ぜひとも男女の徹底的な愛憎だけをフューチャーした映画を撮ってもらいたいとも思います。「ラスト・タンゴ・イン・パリ」や「存在の耐えられない軽さ」みたいなの、頼みます!
さて、この映画のテーマについてちょっとだけ触れましょう。
吸血鬼とは、自分が他人の犠牲にしてしか生きていけない存在であるということの隠喩であって、だからこそそのピカレスクな風情があるのです。
アパルトヘイトみたいに、白人と黄色人種を除いてかからない病気の隠喩が「知性」だったとしたら大変いやな感じもしますが、天然な映画人っぷりが伺えるこの作品の監督ならば、そういう安易な認識にたよってしまっているかも知れません。
まあ、そんなことを考えながら、そのメタファーがどんな風に消化されるのか、時にコミカルにお色気もたっぷりはいりつつも、血まみれのホラーであることにかわらない物語に耐えていきながら観とっていきましたが、そうですか、寝取った嫁の暴走を見かねて自爆というオチですか・・・むー。
ホラーが生理的に全く受け付けない自分だけのグチめいた感想でしょうか。
カンヌの審査員賞ですか・・・あいかわらず映画賞というのはよくわかりません。
FWF評価☆☆★★★

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