◇「レフェリー 知られざるサッカーの舞台裏」公式サイト
2008年のユーロ選手権に密着したサッカー・ドキュメンタリー。
サッカーのみならず幾多のスポーツドキュメンタリーとこの映画が一味違うのは、これが審判に関するドキュメンタリーであるということ。
UEFA(欧州サッカー連盟)公認のサッカー映画でもある。
そして英語タイトルは、”Kill the referee”(審判を殺せ!)
数年前から実際の試合に導入されている審判用のインカム。この音声が拾うのは、「オレたちだって完璧なジャッジはありえない」「あれはミスだった、悪かったな」という審判が選手にかける声。
なるほど、これは確かに貴重な記録である。
今回密着取材の対象となるのは、ユーロ2008のポーランド-オーストリア戦で、オフサイドの誤審でゴールを許してしまった線審と、さらにはそれを帳消しにするかのように相手方にPKを与えた、イングランドの審判3名。
これにより、どこぞの国もありそうな、お前カネもらってるだろ?というような批難をポーラント国民から一身に浴びるこの試合の主審の名前はハーワード・ウェッブ。
。
ポーランドの首相みずから「殺してやろうかと思った」というまでだけでなく、この主審の家には警備がつけられ、審判と同姓同名のペンキ屋(だったっけかな)の家にまで抗議の電話が殺到する始末。
そしてYoutubeには・・・
・・・こんなのだらけ。。。
それでも審判とFIFAの態度は全くもってゆるぎなく、誤審については真摯に組織だって反省を行い、PKの判定の妥当性については、ポーランドからの批難に対して、組織としてこの主審を擁護する。
確かにこんな審判の裏側はみたことがなかった。そういう意味で貴重なドキュメンタリーである。
時間にして90分程度。
よくよく考えてみればテレビの特集番組のスケールで出来たものだから、そのうち配給にかんでいるスカパーで流れるのを待てばいいのかも知れないぐらいの小粒なドキュメンタリーではあるが、まあサッカー好きは観ておいて損はなさそうである。
ところでよくよく考えてみると、この映画ができたのは、やっぱり審判の裏側を描くうんぬんというよりは、ポーランド国民のイギリスのレフェリーに対する怒りというのが、何か一筋縄ではいかない何かを背景にしているのが大きいのではないかと思えてきた。
そうです、例えばケン・ローチ監督の「この自由な世界で」で描かれていたように、ポーランドの出稼ぎ労働者の問題はイギリスでは搾取の対象となっているばかりではなく、政治問題化してきているのです。
普段から搾取の対象となっているイギリス人に、今度はフットボールまでまきあげられた!というよなところですか。
なんだかどこの世界もおんなじもんですね。
あ!
今、録画て観ているチャンピオンズ・リーグ決勝で、そのポーランド人にヒトラー扱いされたハワード・ウェブという審判が出ている!!!
そんなわけで、審判はがんばっているわけですね。
FWF評価:☆☆★★★
ここに行って映画を観たら負けである・・・そんな評価の渋谷アップリンクファクトリーでの上映のため、☆一つ減らしてあります。
審判はつらいよ / 「レフェリー 知られざるサッカーの舞台裏」
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