「シャンハイ」はいいとして、次のチャン・イーモウの新作は・・・

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「シャンハイ」公式サイト
コン・リーで「上海」ということであれば、当然ながらにチャン・イーモウの『上海ルージュ』(96)をすかさず思い出さざるを得ないわけです。
時代の手のひらの上で流転して悲劇を迎える寡黙な女性というような役どころが多かったコン・リーが、転換転となるような映画であったと思います。
なお、この映画を最後に、長年の公私ともどもの伴侶であったチャン・イーモウと訣別。
これをきっかけに、さらに大きな女優になっていきました。
そんな作品を思い出させる『シャンハイ』というネーミング。
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そして、渡辺謙、菊地凛子、チョウ・ユンファというビッグネームを連ねた予告編に魅せられて行ってまいりました。
なお、そこはかとなく不安に思ったのは、『ハイフィデリティ』のジョン・キューザックが主役というところ。タフな日中戦争下の上海とかで、あのナイーブな男は立派に立ち回ることができるのだろうか?
日中戦争の続く国際都市上海で、専横する日本軍と日本とは戦争状態に至っていないアメリカのスパイの主人公(ジョン・キューザック)。
主人公の友人である同じスパイは、アヘン中毒の日本人の女(菊地凛子)の部屋を出たところで、何者かに殺されてしまう。
どうやら、それは空母加賀から上海に派遣された日本軍の大佐(渡辺謙)の仕業のようである。
ある日、自分に色目をつかうドイツの外交官の妻に招待されたパーティーで、日本軍に協力している中国人の裏組織のボスに知り合うが、その妻は友人が殺された日にあった、謎めいたカジノの女(コン・リー)だった。
・・・というような出だしから始まる映画です。
で、このへんまではよかったんですが(笑)
男女の恋愛織り交ぜた時代もののサスペンスですが、うーむ、ちょっと無理あるかなーという展開が続きます。
弱い男の物語・・・という割には渡辺謙の菊地凛子の取り扱いとかどうなんですかね?
ドタバタと女をめぐる男の物語が続いていきますが、うーむ、なんか女々しいんですよね、どいつもこいつも(笑)
女々しい世界のワリには、プスプスと銃剣で次から次へと人を刺していくは、中途半端に撃ち合いだらけだし。しかも日本軍がめったやたらに類型的なんですよね。
エンドロールでタイのスタジオで撮ったことがわかりましたが、渡辺謙と菊地凛子以外はキツイですね、服装や装備のディティール以外には。日本人の俳優、連れてこれなかったんですかね。
あれだけみんな血まみれになりながら、プスプスと銃剣を人の腹に突き立てて、爆薬でテーブル吹き飛ばされて、ごつい拳銃で撃ち合いやっていて、それでも女に惚れるのが男なんだ、というなら、なんかもっとひねこびた何かがほしいところです。
あんなこと、こんなことしてて、いきなり男の友情的なこと言われてもなあ~と(笑)
なんか地に足がついてない、ナイーブな監督なんじゃないでしょうか。まるで、「ハイフィデリティ」でジョン・キューザックがやった役どころみたいに。
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登場人物にひねこびたところが足りないので、こっちがひねこびてやるとしますか。
面白かったのは、渡辺謙と菊地凛子が、なんだかもうこの人達の出来あがったイメージそのまんまをやっていたところですか。
渡辺謙は怪しい日本人で、最後は白人の側の友人となりながらも最後は死んでいく。
インセプション』しかり『ラストサムライ』
菊地凛子も得体のしれない謎の人物でロクに言葉もしゃべれない。
ノルウェーの森』では精神を病み山奥のサナトリウムで虚ろな会話をする女性、『ナイト・トーキョー・デイ』ではいかがわしさ満点の殺し屋、『アサルトガールズ』ではほとんどセリフなし!
今回も重要な役どころでありながら、アヘン中毒ということで、まともにセリフはありませんでした(笑) しかしそういうマッドネスさが似合うといえばそうなんですが。
当時中国で大人気だった山口百恵に似ていると子どもの頃から言われて、それで女優になったコン・リー。かつて平岡正明はその山口百恵を「山口百恵は菩薩である」と喝破しました。それにならって、自分はコン・リーは菩薩であると言い切りたいところです。
この映画も衰えませんね。抗日ゲリラの女ボスという近代的なキャラクターを、胸の谷間を見せつけ、グイグイと押しつけるような存在感を醸し出していました。
これにて、レイトショーの1,300円の大半を回収したということにいたしましょうか。

追記:
また反日映画うんぬんとかやっている人いますね。なんともはやヤレヤレという気分です。
そういう反応見越してのことかもしれませんが、ナチスの総統と並列される「天皇」を「帝国」と訳したり、本来ならばこっちのほうが使うべきだろう「抗日ゲリラ」をレジスタンスと言い換えてあったり、南京大虐殺で何十万人を殺したというのを濁してあったりしてありました。苦労が偲ばれます(笑)
そういえば、コン・リーの元カレの巨匠チャン・イーモウの次作は南京大虐殺ものですね。南京大虐殺の最中に中国人をかくまって救った牧師の話だそうですが、これもムッキーとする人で埋め尽くされるんでしょうね。ちゃんと公開してほしいですよ、こいつらに負けずに。
FWF評価:☆☆★★★

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2コメント

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  1. シャンハイ 戦史ものでありスパイものであり恋愛ものであり・・・上海租界さながらに複雑~

     今日は先日購入した製本機(なんと40万円もするねんで!)を使って、明後日のうちの労組の一つ上のローカルセンターとしての位置づけの労組連合会の、定期大会の議案書を作った。
    86ページの冊子、コツがわからず10冊くらい失敗したけど、コツがわかってからは印刷屋さ…

  2. 映画:シャンハイ

     シャンハイを見てきました。

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