◇「ローラーガールズ・ダイアリー」公式サイト
 この作品の原題は”Whip it”
 映画でも出てくる手をつないで味方のローラー選手を投げるように加速させるワザのことを「ホイップ」というらしいのだが、そこからタイトルがつけられている。
 でもそんなのはわからない私達にとって、「ローラーガールズ・ダイアリー」というのは、とてもよく出来ている邦題だと思う。
 日記は一度たりとも主人公のエレン・ペイジは書いてはいないのだが、まさに17歳の青春日記といったところの内容。
 努力・勝利・友情!少年ジャンプワールドさく裂のガールズ・ムービーに、ふさわしい邦題かと思う。
 が、映画のオープニングタイトルで、原題がWhip itとわかったところで、どうしても頭から離れない思いつきがわいてきてしまった。
 この邦題って、「モーターサイクル・ダイアリーズ」(2004年)の韻を踏んでいるんですよね、極めてどうでもいい話ですが(笑)
 本作「ローラーガールズ・・・」の配給元はギャガ。
 ギャガのロゴには赤い☆が煌めいていて、スティーブ・ソダーバーグの「チェ」2作もギャガでしたから、ゲバラファンの方とかがいらっしゃって、そこから雰囲気ひっぱってきてつけたというところなんでしょうか。十分邪推のレベルの話ですけど(笑)
 さて、そのゲバラとは全く関係がない「ローラーガールズ・ダイアリー」(笑)
 テキサスの田舎町で、母親に連れられて地元の美人コンテストにエントリーすることを繰り返している17歳の女のコ。
 ひょんなことからローラーゲームに魅せられて、弱いチームながらもトッププレイヤーになっていきます。
 ここからは努力・友情・勝利の世界に、女のコの定番の恋愛物語風味が軽くまぶしてあります。
 時代はどうやら微妙に現在系ではないらしく、パソコンをみると90年代後半といったところでしょうか。
 テキサスの田舎町らしく、まだまだ80年代のヘビーメタルが幅をきかせていたりします。ラモーンズやガールズ・ボーカルのブリーダーズの「キャノンボール」も作品中で流れていましたが、このへんは昨年のミッキー・ローク主演の秀作「レスラー」のノリを感じさせます。
 ちなみに「ストライパー」というヘビメタバンドが出てきますが、これは聖書の内容を歌詞にして、実際にライブでは聖書をステージからばらまいていたりしたりする極めて健全なメタルバンドのことです。この名前、20年ぶりくらいに聞かされました、この映画で(笑)
 アメリカの白人が往年を回顧し、懐かしむ映画・・・そういうモチーフの映画が近年多数出てきていますが、この映画もローラーゲームという1970年代文化を取り扱っているというところに注意したくなります。
 そうそう「グラン・トリノ」も70年代のアメ車を真ん中に配した映画でしたよね。
 エレン・ペイジのあどけなさと健気さも実に魅力的でした。
 クリストファー・ノーラン監督の凝りに凝ったシナリオが素晴らしい「インセプション」でも存在感を放っていました。エレン・ペイジはもっともっと活躍してほしい人です。
 本作では、ローラーコースターの腕前もしっかりして、さらにはプールの中での水中ラブシーンまであったりと、よくぞここまでがんばったというところでしょう。
 そして何よりも、ドリュー・バリモア!
 初監督作品にして、ストーリーの荒削りさはご愛敬として、なんともいい映画をつくりましたよ!
 子役でデビューして、そこからの放蕩人生も味わってきた自分を重ね合わせた感アリアリで、テキサスのじゃじゃ馬ローラーガール(?)をも演じきっていました。
 汚れな女たちが、そして楽しい!
 監督ドリュー・バリモアに期待することにしましょう。
FWF評価:☆☆☆★★
ドリュー・バリモアの努力・勝利・友情! /「ローラーガールズ・ダイアリー」 ドリュー・バリモア
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