憎悪のネガフィルムの中の少年達の冒険 / 「ジョニー・マッド・ドッグ」 ジャン=ステファーヌ・ソヴェール

「ジョニー・マッド・ドッグ」公式サイト
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子ども兵士徴用廃止をめざす連合 (Coalition to Stop the Use of Child Soldiers) の2009年のグローバルレポートによれば、現在世界で次の国が少年兵を徴用して兵士としているのとのこと。
その国とは、チャド・コロンビア・コートジボワール・インド・イラン・リビア・コンゴ・ミャンマー・ペルー・フィリピン・スリランカ・スーダン・ウガンダ・ジンバブエ。
この映画の舞台はリベリアだそうだが、この国でも1990年代から続いた内戦の中で、反政府勢力が少年兵を徴用し、その少年兵による無差別な殺人や略奪やレイプ、拷問などの行為が大きな問題になったとのこと。
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ほぼ実話に基づくこの映画は、とあるアフリカの国の内戦の中で、反政府軍に編入された少年たちの物語。憎悪や差別をまきちらし、人を殺し続けるシーンが、まるで子供の遊びのように描かれていく。
麻薬やセックス、そして暴力が延々と続き、だがときおり子供が子供らしいシーンが現れていく。そのアンバランスさ。この子供たち行いは、「スタンド・バイ・ミー」や「トム・ソーヤの冒険」と同じ無垢と純心ながら、その結果となるものはむごたらしく全く救いがない。
映画は、ストレート・アヘッドに少年兵のグロテスクな悲劇がテーマが取り扱われて、これが生のまま余計なものをそぎ落としながら、全くもってシンプルである。
そのシンプルさが、また逆に伝えるものを明確にする。
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この映画の舞台となったアフリカの内戦は依然として終わることがない。
兵士として訓練されている子供たちの身のこなしは、機能美に美しく感じさせるほど完璧なものなのだが、これは誰によってここまで仕込まれたものという設定なのだろうか。
また、子供たちが持つカラシニコフやRPG-7(対戦車ロケット弾)は、誰から購われたものなのだろう。
憎悪を募らせ、死の衝動を掻き立てる歌や掛け声は誰が教えたものなのだろうか。
このような事態が続く限り、少年たちの冒険はネガフィルムに憎悪と死と恐怖とともに暗転して閉じ込められたままである。

FWF評価:☆☆☆☆★

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