台湾から日本への「郷愁」 / 「海角七号/君想う、国境の南」

◇「海角七号/君想う、国境の南」公式サイト
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台湾至上最大のヒット映画!・・・おおよそこういう類の煽りには何かのワナが含まれているわけですが、この「ドラマ」も例外ではありません。
映画としての品質は、テレビドラマなみです。昔のトレンディドラマの再放送を観るかのような距離感をひたすら感じ続けなければならない苦痛。拙い映画です。
自分としてはめったにないことですが、映画が始まって30分ぐらいには、本当に帰ろうかと思いました。しかし、自分はがんばった。
がんばるとたまにはいいことがある、ラストまで観て、やっとそういう気持ちになれます。この映画はみなさんがんばりましょう。
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この映画のポイントは、やっぱり日本との関係なんですね。
台湾の人が、いかに日本に対するノスタルジアを持ち続けているのか、ということです。
そのノスタルジアがまったくもってあけっぴろげな男女の恋愛物語にストレートにあてはめられながら、この21世紀の現在に成就されるというのがこの映画の核です。
まずは、映画では、終戦によって別れることになった悲愛があります。
それは薄情な日本の男に捨てられたのが台湾の女性という位置づけです。
ところが、実は日本の男は台湾の女性に対して、7通のラブレターを残していた。映画はそれを、現代の多少ぼんやり日々を過ごす台湾男性と、勝ち気で仕事のできる日本人女性の恋愛を、台湾と日本との関係に重ねあわせていきます。
日清戦争の下関講和条約の1894年から太平洋戦争敗戦の1945年までのおよそ50年間、台湾は「日本」でした。日本人として教育され、そして日本語教育されてきた人々は、敗戦とともに様々な混乱を経て、そして大陸から共産党に敗れてわたってきた国民党に、いわば占領されることになります。
日本語教育を受けた台湾の本省人といわれる人々と、大陸からわたってきた国民党の人々とは、それから不幸な歴史を重ねることになる。
このへんはホォ・シャオシェンの「非情城市」(傑作です)に一部描かれている。
ところが、すでにそのような歴史をさらに50年経た今、台湾では「哈日族(ハーリーズー)」と呼ばれる日本文化の熱狂的なファンまで生まれつつある。
日本統治の時代を過ごしてきた人たちの孫の世代である。
台湾の国民党政権や外省人(国民党とともに大陸を追われてきて台湾に来た人たち)は、日本に対する思いはないが、この日本統治の時代の記憶をまだ抱えたまま、そしてそれに複雑で失恋にも似た感情をもっている人も多数いるのである。
台湾人である前述のホオ・シャオシェンが、「こんな映画ができるのを待っていた」という旨の発言をしているのは、たぶんそういう政治的な背景がある。それだけ、台湾は自由になったのだ、と。
なお、ホォ・シャオシェンの「非情城市」は外省人と本省人の内戦に近い政治動乱を取り扱った映画である。
きっと、そういう背景があって、台湾では大ヒットしたのでしょう。それが最後の最後まで観て、やっとわかりました。
観ていい映画と思います。映画の質とはまったく関係なくそれを踏まえてはじめて感動的な映画です。こういう映画もいいと思うのです。
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ここに台湾の人が日本語にしたらしい、手紙の全文があります
すみません、ちょっと映画思い出して泣けます。
台湾から、日本への郷愁に泣けてきます。
FWF評価:☆☆☆★★

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