「ロミオ&ジュリエット~フーリガンの恋~」


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まだアジアチャンピオンズリーグが始まったばかりの頃。
2004年に横浜F.マリノスは、このアジアナンバー1のクラブを決める大会の予選グループで、インドネシアのペルシック・ケデリというチームと対戦することになった。
当時はまだアジアチャンピオンズリーグの意味がJリーグのサポーターでさえ今一つつかみ切れていなかった。
ジャカルタからクルマで6時間のところにあるケデリの町にむかった日本のサポーターは、自分を含めてわずか4人。
インドネシアのサッカーの情報などほとんど知られていないし、ジャカルタ島の内陸部の甲府とか盛岡くらいの大きさの町に関する情報もほとんどない。夜中に町唯一の「高級」ホテルに着いて、そこらじゅうに商品名入りのグッズが置かれていることで、初めてその町がタバコの「ガラム」の生産地であることを知る。ホテルのロビーには、ガラムのロゴがはいったスタンド式灰皿。そのまわりに、ジャージ姿とスーツを着た身なりの良さそうなアラブ系と思しき人がたむろしている。後で知ったのは、それがAFC(アジアサッカー協会)の役員たちで、ジャージの人間が審判ということ。
どんだけ地味で怪しい大会なんだ!と思って翌日にスタジアムに出かけた翌日。
スタジアムに向かう途中、いたるところに対戦相手のペルシック・ケデリのサポーターグッズ(白いタイガー)を見つけた人がいて、それがスタジアムに近づくにつれ、圧倒的に数になっていく。そして、予想外に超満員のスタジアム。超満員どころではない。スタジアムを見下ろせる木のうえ、フェンス、隣の建物の屋根、全てケデリのサポーターが鈴なりになっているのだ。
試合の途中に日本から持っていったダンマクがとられた。
それを取り返しに、フェンスを飛び越え、向こうのゴール裏に自分が入っていくと、あらゆるモノが飛んでくる。それでも、盗んだヤツからそれを取り返して、安全上の理由から日本人がそこに入れられていたメインスタンドに戻ると、警官が血相を変えて自分にむかってくる。そして、きっとそれが知っているだろう数少ない英語のひとつである言葉をオレに云う。「デンジャラス!」
日本大使館の人間が慌てふためいて警官の後からやってきて、「インドネシアのサポーターは危険です。刃物をもっているヤツもいて、毎年何人も死んでいる。やめてください」と。
先に言えっちゅーの(笑)
そんな試合から帰ってきた後、俄然インドネシアのサッカー事情が知りたくなって、いろいろ詳しい人に聞いてみる。
インドネシアのサッカー熱は凄まじく、国内リーグの盛り上がりはアジアでも有数。もともとアジアで最初にワールドカップに出場したのがこの国(蘭領インドだった頃)だということもあり、昔からなのだそうだ。
そのときに、東南アジアサッカー事情に詳しい人に教えてもらったのが、サポーター同士の抗争と禁断の愛をテーマにした映画。本作『ロミオ&ジュリエット』がそれだ。
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そして、ひょんなことから「ヨコハマ・フットボール映画祭」の企画が持ち上がったときに、自分が真っ先に上映したい映画としてあげたのがこの作品。
調べた監督に、フェイスブックで直接コンタクトをとると、あっさり上映許可が下りる。
字幕翻訳も自分で仕上げて、ついに日本上映となったわけです。
上映に際して日本に招待した監督アンディバクティアール・ユスフは、もちろん若いサッカー好き。Jリーグも大好きな英国留学経験のあるインテリでした。
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連れていった居酒屋で、肉や魚を食べるアンディに、イスラム国なのにそういうのは食べていいのかと聞くと、「オレの宗教はフットボール」と言いのけました(笑)
フットボールは宗教・・・そうするとチームとチームは宗派の違いのようなもの。
近親憎悪の仕組みで、ライバルチームは徹底的に仲が悪い。サッカーが生活に密着していればなおさらである。そんな敵同士のチームのサポーターが恋に落ちていく物語。
こんな映画が成立するインドネシアっていったいどれだけサッカーが好きなのか(笑)

「サッカーカルト映画」という括りができるならばそういう映画でしょう。
こういうカルトな映画を日本にもってくることを自分でやれて、大変満足です(笑)
世界中でサッカー映画は本当に多数撮られています。
その中のひとつとしてお楽しみ頂ければ幸いです。
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なお、この作品、現在東北大震災のチャリティ上映の許可を監督から頂き、売上全額寄付の条件にて各地で上映会を実施しております。ご興味あれば、ヨコハマ・フットボール映画祭事務局まで連絡ください。

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