映画のクライマックス、記憶障害のジョニー・アリディが何かを思いつめた末に、死んでいったものたちと幻影の中で巡りあうシーン。
それは劇中のクライマックスのシーンである。
にもかかわらず、となりのカップルは必至で笑いをこらえている。ラストシーンも同様。
おまえにジョニー・トーの何がわかるというのか!
訳知った顔の自己満足の批評精神を、映画館の暗闇の中でアピールされたくないんだよ!
ジョニー・トーの熱き男の心にうたれて「エグザイル/絆」からこの新作を待っていたのに、それを台無しにされた気分。
だから、アンソニー・ウォンが一撃をくらわせるように、エンドロールが終わった後、そこには小賢しいカップルの亡骸が並んで転がっていた・・・というようなことを妄想していたのだが、考えてみれば、そんなことを映画の途中に考えているくらいなんだし、そして何よりも自分自身も、それはないだろジョニー・トー!という思いを隣りのカップルと共有していたのだから、本当のところは始末に悪い映画という事実は認めなければならない。
フランス資本の映画ということで、フレンチ・ロックンローラーの大御所ジョニー・アリディを主人公に起用したり、最近作では「サガン~悲しみよこんにちは」のサガン役が大変印象的だったシルヴィー・テステューといったところも動員して、脇を固めるのはザ・ジョニー・トー組の面々。
しかし、これがまたどうにもこうにも食い合わせが悪い。
食事のシーンやら、お約束のガンの腕自慢シーン、いつもめっちゃカッコイイ小道具の使い方はいつもの通り。シビレますよ!けど、まあ筋立て、厳しすぎないですかね、やっぱり。オレはだからって、映画館の暗闇でこれみよがしに忍び笑いなどする気はありませんが。。。
「僕は君のために蝶になる」は良かったのになあ。
しかたないので、もうレンタルビデオに出ているという「スリ」をこれから借りにいくことにします。
あ、ほとんど一発BGMのように使われていたあの曲よかったです。
西のマイケル・マン、東のジョニー・トーですね。男の世界は。
FWF評価:☆☆★★★
おまえにいったいジョニー・トーの何がわかるというのか / 「冷たい雨に撃て、約束の銃弾を」 ジョニー・トー
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