ジャック・ロジェの日本未公開の短編も含めた特集「ジャック・ロジェのバカンス」から、以下3本。
すでに「アデュー・フィリピーヌ」は、自分として名作認定してありますし、「メーヌ・オセアン」のレビューも書いてありますので、そちらも参照ください。
まずは「ブルー・ジーン(十代の夏)」。
1958年製作のジャック・ロジェのショートフィルム。
スクーターで夏の避暑地のナンパに明け暮れる若者の風景が20分少々。
美しい海岸線の光の中で、ポップミュージックやスクーターという最新の風俗をさりげなくちりばめていく、恋にもならない日常が淡々と撮られている。
登場人物はすべて実名。素人俳優でしょうか?このへんもヌーヴェル・ヴァーグの王道的なあり方です。
なお、この避暑地の美男美女のナンパから始まるお話は、名作「アデュー・フィリピーヌ」にて、見事なまでに豊饒な映画として結実いたします。
この作品、習作というところか。
ジャック・ロジェ、二本目の監督作品となった本作でゴダールに評価されてヌーヴェル・ヴァーグの作家としての道を踏み出すことになる。
ところで、WIKIPEDIAのジャック・ロジェの項目では、”Rentrée des classes”の邦題が「十代の夏」となっているが、これは間違い。
本作の”Blue Jean”の邦題が「十代の夏」である。自分が直せって話しですかね。。。
続いて「パパラッツィ」。
「アデュー・フィリピーヌ」(1962年)の高い評価にも関わらず、ジャック・ロジェは、この後1973年の「オルエットの方へ」まで10年間も映画らしい映画を撮らなかった。その間は、テレビシリーズや短編ドキュメンタリーを数本だけ。
本作、1964年の「パパラッツィ」もその中のひとつ。
20分の短編ドキュメンタリー。
ゴダールの「軽蔑」の撮影風景のドキュメンタリーの中で、執拗にブリジット・バルドーを追いまわすパパラッツィを、逆に映像で晒しあげているといったところか。
発表はどうやらこの「パパラッツィ」の方が先のようであるが、きっと同じ「軽蔑」の撮影風景を撮った「バルドー/ゴダール」の副産物のような作品なのではないだろうかと想像する。
「バルドー/ゴダール」のように、フリッツ・ラングの姿や、もちろんブリジット・バルドーやゴダールも少々撮られている。
資料的価値まで。
最後に、1964年のゴダールの「軽蔑」のロケを記録したドキュメンタリー「バルドー/ゴダール」。
「パパラッツィ」と対になる作品だが、こちらは9分間。
フリッツ・ラングの姿が見られたり、もちろんブリジット・バルドーやゴダールも少々撮られているが、特に特筆すべき発言があるわけではない。
残念ながら、こちらもあくまでも資料的価値まで。
結局、この特集「ジャック・ロジェのバカンス」は、別記事の「オルエットの方へ」をあわせて、全作品を観たことになります。
飛び抜けてよかった「アデュー・フィリピーヌ」を除けば、やっぱりこの監督、変わり者なんじゃないかと思いますよ(笑)
「ジャック・ロジェのバカンス」短編集まとめて
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