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これは凄い!「堀川中立売」柴田剛

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「堀川中立売」公式サイト
その映画タイトルを素直に「ほりかわなかたちうり」と読める人は、京都以外ではなかなかいないだろうと思う。地名だということもわからないだろう。
その京都の路地の片隅を舞台としたサイコSFとでもいうような強烈な映画です。
陰陽師のサイバーSF、路地裏の反乱、少年犯罪者の人生、子どもたちと悪との戦い、様々な要素が、ギラギラと輝きながらチープでコミックな雰囲気に、ギュッと詰め込まれて、そして映画をはみ出してしまっています。
こういうはみ出し方は好きです。
最初の30分は、ニートのヒモ暮らしの男とエキセントリックな女との絡みや、エセインテリ風なルンペンの話が延々続き、どうなることかと思えば、途中から徐々に、もうひとつのストーリーとして進んでいた少年時代に連続殺人をしてきた男の物語と、さらには宇宙と交感しようとしている子どもたちの描写が、だんだんと絡みあいます。
そのあたりで、はじめて自分は何かつかめました。この映画、キテますよ!
コミカルさとサイバーパンク風を行きつつ戻りつつしながら、魅力的なショットが次々と繰り出されます。
冒頭のペットボトルを町中に吊るしていく子どもたちのシーンのあたりなどは、とてもよろしい。子役の女のコ(祷キララ)も効いてます。

「メシ食って屁してクソして寝てろってバカがね、この狂った世界に立ち向かうヒーローだったらどうします?」
この映画では、ゾンビは普通の市井の人たちなんです。ヤクザと子どもとニートとルンペンだけが、地球を救うことが出来る存在なんです。陰陽師は、そうやって地球を守ってきたわけです。ここまでがガチっとつながった瞬間に映画は暴走を開始します。
何かはみ出しているんですよね。スクリーンから。そして、そのはみ出し具合が強烈な魅力を発します。このスクリーンからはみ出た部分を理解できないと、この映画を観るのはつらいでしょう。無条件に人には勧められません。しかし、何かを感じまくります。
ダメな点をあげたらキリがないかもしれません。
まず予告編がダメ(笑)
あんなに面白いカメラがひとつも予告編にはでてこない。こんなところわざわざ予告編で見せる必要なかろうがというところばかり出てきます。


・・・と動画を探してココに貼ろうかと思ったら、もうひとつの予告編があった。
こっちはよろしい。

それと音楽が決定的によろしくない。チープさを出すのにチープな音楽を使うというのは、チープな発想ですよ(笑)
サイバーパンクSFの部分は、全く説明不足なんですが、これはいいでしょう。
大妖怪ドーマンセーマンとの対決シーンは笑わせるとしたらこれでいいんでしょう。
しかし、この2つは一般のお客さんには決定的に理解できない部分だと思います(笑)
こを魅力ととるか、わけわからんで終わらせるか。自分は当然、面白く受け止めさせて頂きました。
それにしても、ドロドロなダメ人間が実は狂った世界からの逃避であるという発想に、サイコSFを絡めて、さらにそれを京都の路地裏で展開させるという異様なコラボが、強烈に光を放っております。目も眩まんばかりの輝きです。ブラボー!これはいい!

浅学にして柴田剛という監督を知りませんでしたが、これは覚えねばならない人ですね。
ていうか、今頃観て、スゲースゲーと騒いでスミマセン(笑)
FWF評価:☆☆☆☆★

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