プア・ホワイト(白人貧困層)の現在 / 「フローズン・リバー」 コートニー・ハント

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トレーラーハウスに住む一家。
学校に行く子供には、これでランチを、と手のひらの小銭をいくつか渡される。
テレビはレンタルだし、トレーラーハウスもレンタル。
だから滞納すればとりあげられてしまう。
夫は、ギャンブルでカネを使い込み、妻に銃で撃たれて脅されて家出している。
もうすぐクリスマス、帰ってきてほしいのではあるが、怒りはまだ収まらない。
夕飯はお金がないからポップコーンだけ。しかも、それが何日も続いている。
パートの収入を増やしたくても、フルタイムの希望は若い娘だけに許されているものだ。
プア・ホワイト、しかもシングル・マザーの実態を描いた作品なら、昨年にはサンシャイン・クリーニングもあった。
それにしても、こういう貧困やシングルマザーの苦境を取り扱った作品が、妙に社会派に近い映画のつくりで出てきているアメリカというのはどうなっちまっているんだ?と思わざるを得ない。
しかも、それが白人というところがポイントだ。
貧困のために、フローズン・リバー(凍てつく河)を渡る・・・つまり犯罪の一線を越えてしまう主人公。
モホーク族というインディアンの自治区からも疎んじられる、もうひとりのシングルマザーと出会い、やがて二人はいつの間にか弱いもの同士の連帯を知らず知らずのうちにつくりあげていく。
そんなストーリーだから救われます。これだけ酷いシチュエーションから始まった映画なのに、最後は何か救いを見出すことが出来ます。とても好感がもてる認識です。
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そんなわけで、非常に良い映画を見ました。
90分の映画というのも良い。映画の過剰表現や無駄なエピソードなどもなく、タイトな物語展開だから可能な90分。
貧困や犯罪が、それを自ら再生産していくというテーマは、まるでケン・ローチの諸作品を思わせます。おそらくかなり影響を受けているんじゃないでしょうかね。
しかも女性監督ならではの視点もある。あの生活感は主婦経験者じゃないと出せないんじゃないですかね。
今後もこの監督には期待できるでしょう。グッドでした。

FWF評価:☆☆☆☆★

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