新感覚で登場する文太ギャング「横浜暗黒街 マシンガンの竜」

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横浜暗黒街 マシンガンの竜 - goo 映画
東映ヤクザ実録モノ路線の跋扈の中、佐藤純彌等の助監督を経た岡本明久監督の監督第一作もヤクザ路線。
ただしこちらはいわゆる愚連隊。
キャッチコピーは「野太いダンディ。新感覚で登場する文太ギャング」
初陣作にしては菅原文太のみならず、千葉真一、小池朝雄、葉山良二、など、ちょっと豪華ですね。こいつを新人として強烈にデビューさせてやろうという東映のやる気が感じられます。
1976年の作品。東映ヤクザ実録ものもだいぶ煮詰まってきていたんでしょうか。ポスターは、赤いスーツにボルサリーノの帽子、黒のトレンチコートを肩にかけてマシンガンをぶっぱなす、というような、おおよそ現実離れした荒唐無稽なピカレスクロマン風になっております。これが「新感覚」なんでしょうね(笑)
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横浜の港町(という設定ですが、ほとんど横浜らしい風景はありません)の、不良の中年息子に母親。母子愛というか母ちゃんベッタリの息子に、悪い母親の二人が密売のクスリを強奪。ヤクザとヤクザとつるむ警察とマシンガンで抗争し続けます。
文太は女にはもてる気質。母ちゃんを警察に殺され、ヤクザに追い詰められると、自分の女をわざと刺して自分から警察に捕まりますが、追手は刑務所の中まで。
すったもんだとしながら、バーにママになった昔の女をたより雪国に逃げ、朝鮮に逃げようとしてそこでもマシンガンの撃ち合い。昔の文太の女は殺させるわけで、母ちゃん含めて文太の女は皆死んでいくわけです。
なんともはやなお話ですが、まあいいのかな(笑)
東映任侠モノは、耐えて忍んだ男が刃をきらめかせて美しく破滅する美学の映画。
これのアンチテーゼとして出てきた実録モノは、学生運動崩壊の後に蠢くカネと暴力と集団を巡る群像劇。極めて人間らしく欲望にまみれたカッコ悪さがカッコイイという倒錯した美学。
この映画となると、さらにカッコ悪さをキッチュなカッコ良さに包んで物語化するという流れになりますが、うむなるほど、こういう路線は確かにその後の映画にはありますね。これが「新感覚」だったわけですか。
銀座シネパトス特集「東映セクシービューティーの逆襲」にて。

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