ヨコハマのユカ / 「月曜日のユカ」 中平康



月曜日のユカ(1964) – goo 映画

17歳の時に、通学中の神楽坂で篠田正浩と寺山修司にスカウトされて、いきなり「涙を獅子のたて髪に」で主演となった加賀まりこ。
神田の生まれで映画プロデューサーを父に持つ彼女は、中学生の頃から青山のボーリング場にたまり、銀座ACBの常連ともなっていた都会の不良少女だった。
都会のコケティッシュな不良少女は、いきなりこの作品の主演で脚光を浴び、翔けあがるようにスターダムのステップをのぼる。
デビュー作の舞台はヨコハマ。篠田正浩と再び組むことになる作品は1964年の佳作「乾いた花」。この作品もヨコハマ。その同年に中平康と同じヨコハマを舞台にこの作品が撮られる。それが本作品。
確かに加賀まりこには60年代のヨコハマがよく似合う。
中平康もヨコハマを舞台に使うことが好きだったようだ。
本作「月曜日のユカ」のほかにも、「砂の上の植物群」では山下公園とマリンタワーが重要な舞台。「泥だらけの純情」ではヒロイン吉永小百合はヨコハマ山手の育ち。
「混血児リカ」も港ヨコハマが舞台。他にもまだある。
この映画では、山下港の赤灯台(横浜北水堤)の加賀のラブシーンがある。
ふたりがからみあう赤灯台の堤防がロングショットで横切る巨大な貨物船とともに重ねられるシーンである。
中平の作品はスピーディーでおしゃれで、セリフまわしのテンポや音感やリズムや構図がたいへんスマートさが売りである。このロングショットなどは典型的な中平スタイルだ。
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本作、「月曜日のユカ」は、当時の自分のありのままと本人がいうくらいだった加賀の役柄のはまりっぷり、と中平のソフィスティケイトされた映画スタイルがうまくフィットした作品といえるだろう。
加賀まりこは、女優としての歩みをこの後に本格化していくが、自分にとっては、初々しさの中につつみこまれた素のままに近いこの時代の作品が愛おしい。
この作品の加賀まりこの髪型(撮影所の美容師ではできないために、自分で苦労してセットしたというエピソードがある)や、知り合いの男に連れられたバーで踊るシーンの自然さなどは、まさにこの人ならではなのだろう。
秀逸なタイトルバックに出てくる加賀のランジェリーが、なぜ黒なんだろうかという疑問は、この物語の伏線として理解していいのだろう。例によって、意地の悪くて得たいの知れない悲劇が待ち構えているのは、やはり中平ならではの仕掛け。
ただし、中平の本当の持ち味はこういう作品にはないような気がしてならない。そういう意味ではやや微妙なところも残らざるを得ない作品である。

神保町シアター特集「春よ!乙女よ!映画よ!」にて。

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