難しく考えないで観たほうがよいドラマ / 「シリアの花嫁」 エラン・リクリス 【映画】

◇「シリアの花嫁」公式サイト
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映画のあらすじを観た段階では、この映画はてっきりイスラエル側ではなく、シリアなりのイスラム系(またはアラブ系キリスト教徒)がつくったものかと思い込んでたんですが、これってイスラエルの映画協会?か何かが資本出してつくっている映画なんですね。
こういう映画をつくれるイスラエルという国は、ある程度奥深いのではないかと考えました、つくづくと。
ただし、その奥深さや寛容の精神を超えたところに事態はあるというところが、さらに複雑ということですね。
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さてさて、花嫁の嫁ぐ一日ならば、小津安二郎をはじめ古今の映画が取り上げた題材であるが、この映画はその一日を通じて、イスラエル占領下のゴラン高原のイスラム教徒(さらにドゥルーズ派というシーア派の分派のマイノリティ)の現在を浮かび上がらせるという仕掛けになっているもの。
きっちりとイスラエルの暴政もどきのエピソードや国連の無力をうまくエピソードにしたてあげながら、かっちりと一本のエンターテインメントに仕立てあがっている。
背景が背景だけに難しく観るべき映画と想像する人もいるかも知れませんが、これ、古典的にまとまったホームドラマですよ、基本は。
ちょっと昔なら日本でもありそうな、反対された結婚で勘当状態の兄貴やら放蕩息子の弟など、橋田壽賀子ワールドチックな光景も織り交ぜながら、国境のことを考えさせる仕組みは、やや平凡かも知れませんが、現在のイスラエルをとりまく不条理な事態だけにコメディチックにも展開したり、無国籍者の婚姻風景などは、本当は残酷なことなのにもかかわらず、かなりシュールな光景に見させます。
肩の力を抜いて見て、そしてそのばかばかしい光景を乗り越える女たちに思いをめぐらす映画ですね。
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しかし、こういう視点がイスラエル側にあるならば、本当にあの国を取り巻くこともなんとかなりそうなんじゃないかとも思うのですが、そういうわけにもいかねーんだろうなーと、映画を見終わってから神保町の交差点の風景見ながら思いました。
シリアから、イスラエルから、なんと日本は遠いことか。
そして映画はその距離を、例えそれが思い込みだとしても、短くしてくれます。

FWF評価: ☆☆☆

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