学校で生徒にバカにされるような、しがない教師が、日本でもよくいる街中のアクセサリー売りの女のコに出会い、そこから始まる偶然の恋が、彼を路上に連れ出していく。
破天荒なストーリーに、一筋縄ではいかない魅力的な人物が重なりあいながら、それでもすべてのエピソードは主人公を祝福するかのように丹念に結びついている。
パンク野郎のファティ・アキンのユーモアや笑いのツボが、下卑たものから、スラップスティクなものまで、縦横無尽に織り込まれ、そしてかつ、映像は美しい。
ドナウ川のマリファナを吸って幻想に浸る美しいシーンなどは、キッチュとギリギリな線ながら、忘れられないくらい味わい深い。
いや、まあこれは必見の映画ですよ。ロードムービーはかくあるべし。すばらしい!
以上の評価を別にして、映画を見てからちょこちょこと考えたこと。
◇指輪売りの女のコ
主人公を愛して、「太陽を探す」きっかけとなったアクセサリー売り、日本だとあの商売やっているのはほとんどユダヤ系だったりする。イスラエルの若い連中は、あれを売り歩いて世界中を旅しているんだよね。あのコもそういう仲間なんだろうね。
◇トラック運転手とバルカンビート
「太陽」キャラとは対照的な存在として扱われる、ルナ(月)という女のコが大変魅力的。あれはジプシーという設定と見たんだけど、どんなもんでしょう。
怪しいクラブのシーンもバルカンビート(ジプシーミュージックなど中欧系伝統音楽のクラブバージョン)流れまくりでしたね。
◇警察署の美人
死体運搬で捕まってしまった後に、何かゴージャスな女性と留置所ですれ違うんだけど、あれは何者なんだろう?急に釈放されてしまうのも、あの女に関係あり?あのへんはトルコネタなんだろうねえ。
FWF評価: ☆☆☆☆
ロードムービーとはかくあるべし / 「太陽に恋して」 ファティ・アキン 【映画】
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