ナルシシズムの仮面を脱ぐ / 「THIS IS IT」 

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◇THIS IS IT 公式サイト
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マイケルジャンソンの映画といえば、ディズニーランドで放映されていた「キャプテン EO」や、「ムーン・ウォーカー」の映画のどうしようもないナルシシズムをまずは思い出してしまうのは、リアルタイムのマイケル世代だったからだ。
この映画は、ドキュメンタリーだからよかったのだと思う。
おそらく舞台監督がライブの映像のリハとしてとか、舞台効果の確認用として撮影してきたものを、さらに死後に編集したものだから、マイケル・ジャクソン本人の意図は全く入っていない。
だから、マイケル・ジャクソンの本当のパフォーマーとしての素の姿がそのまま映し出されている。それが、実にすばらしいのだ。
(そういう意味で本人がコンサートで使うためにつくっていたビデオが例によってナルシシズムで鼻につくのだが、ここの部分はお愛嬌としておきましょう)
以下、ちょっと関係あるかないか微妙な話です。
石原慎太郎が友人三島由紀夫の例の事件の時に警察官によって撮られた、事件の状況写真を後年に見せられて、その撮られていることを知らない素の表情について感慨深く語るには、それがはじめて彼が周囲に対して自意識をさらけ出すことなく、気負わず、無理せず、あるがままの自分をさらけ出していて、それが美しくさえあるのだ、ということです。それに比べれば巷に流布する三島の例の写真などグロテスクに過ぎない、とも。
そういう映画でしょう、このTHIS IS ITは。
きっと、マイケルが生きていたら観られなかった映像です。その分、余計なものがすべて洗い流されている。

巷の高評価のレビューや、珍しく行き着けのバー(嫁が元ダンサー)のマスターが絶賛していたりで、先に書いたように悪い思い出がよぎっていたために半信半疑で観にいったのだが、これは実に劇場鑑賞で正解でした。
音響では定評のある丸の内ピカデリーにて観たため、さらに心地よい体験でした。
何度も聴いていた曲から聞こえなかった旋律がしっかりと伝わってくる快感はこのうえなし。
映画終了後、レイトショーにもかかわらず、客席から拍手があがりました。
これもまた初めての体験。
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FWF評価:☆☆☆★★

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