1974年の鎌倉の記号論 / 「妹」 藤田敏八

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1974年の日活の作品。
当時の時代の空気をうまくすくい取った作品ともいえる。
厭世的でありながら、自分自身の生き方を小さく追い求めることに美学を見出す流れは、学生運動がすでにグロテスクといえるまでの結末を迎えつつあったところにカウンターで生まれた世情である。
若干二十歳の秋吉久美子の脱ぎっぷりも見事だが、その裸体はすでに希薄になった情熱や愛憎とは無縁の無垢さを指し示すかのようで、繊細で細身である。
ストーリーは、高田馬場の学生の町のうらぶれた食堂に、両親を亡くして二人で住んでいた兄妹の物語。
同棲して鎌倉に住みだした妹が、ある日兄のところに戻ってくる。ギリギリの近親相姦的感情に落ち込む寸前のところで、兄は複雑な事情を抱えた妹を、誰のものでもない嫁として送り出そうとする。
70年代の空気感がひたひたと満ちている作品。
映画の最初とラストには非常に美しいショットに恵まれているので、そこはおさえたい映画。もちろん、秋吉久美子の魅力は全開である。
そこまでをポジティブに見よう。

ところで、学生がナイーブに鎌倉に逃避するというのは、1976年のテレビドラマ「俺たちの朝」にもあったテーマですが、これってやはりひとつの意味を見出すこともできそうですね。
ここで何か記号論的なテーマが導き出せるかも知れません。
若き林隆三や村野武範の魅力もなかなかのものです。
銀座シネパトス特集『誘惑の女優列伝 part1 ひし美ゆり子』にて。
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ひし美ゆり子は、林隆三を誘惑するセクシーな女性でちょっとしたお色気シーンを演じています。アンヌ隊員はいつでも美しすぎますね。

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