デート・ムービーにはおすすめできませんが・・・ /「シングル・マン」 トム・フォード

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◇「シングル・マン」公式サイト
時間が空いたので、行く予定がなかったのにも関わらず向かった映画館、桜木町ブルク13。
トム・クルーズとキャメロン・ディアスの「ナイト・アンド・デイ」が少し気になっていたので、そちらの発券機に向かうと、すでにスクリーン前列を除いてほぼ満席の表示。
ここで、はじめてその日がレディースディと気づくという自分のお間抜けさに多少イライラしつつ、もう一度シネコンのフロア入口に戻って並んだポスターを見る。
すると知らなかった映画が一本。ラブ・ロマンスらしいキャッチコピーを一見して、こちらを選ぶことにする。発券機の座席表のディスプレイにはまだチラホラと後方ベストのポジションで空席マークあり。
そして、映画が始まって、水中に裸身と思しき映像が映りはじめたところから徐々に気づきはじめ、もう一度、劇場入り口のポスターの情報を思い返しました。
そこにはコリン・ファースとジュリアン・ムーアが親しげにベッドの上で横になった姿があって、「亡き愛する者のもとへ旅立とうとする中年男性の最期の一日を感動的に描く・・・」「絶望の底で孤独に苦しむ主人公が見つける、何げない幸福が胸に迫る・・・」というような、あらすじがあったような、なかったような。
はい、確かにこれはウソではありません。
しかし・・・・・・・ようするにこれはゲイの方々の悲恋の物語ですよね・・・。
完璧にやられました。配給会社の宣伝マンのトリップに、まんまとひっかかったということです(笑)
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これ、自分と同じようにヤラレてしまった人はいるでしょうね。映画終了後「ビックリしちゃったわ~」と顔を見合わせて苦笑いしている女性同士のお客さんもいました。まあ、オレもびっくりしましたわ(笑)
デート・ムービーとしてこの映画を選んだ人もいるでしょうねえ。
「タクシー・ドライバー」のトラビスくんは、初デートにポルノ映画をピックアップしてフラレてしまいましたし、オバマ大統領は現在の夫人との初デートは、スパイク・リーの「ドゥ・ザ・ライト・シング」だったらしいのですが、ニューズウィークに、そんなのデートで観るような映画じゃないとからかわれていたりします。
初デートの映画は重要でしょう。自分はなんだったろう。記憶のかぎりでは「トータル・リコール」かな?知り合いで、「キル・ビル」観にいったという話も聞いたことがありますけど、これもどうかなあ(笑)
この映画が初デートとなってしまった人はオバマ夫妻のようになれればいいですけど、ダメだったら日本の配給会社を怨みましょう。けっして、トラビスくんのように逆恨みしてしまってはダメですよ!
閑話休題。
ともあれ、時にはこういう術中にはまることが、かえってこれまでになかった体験につながることっていうのもあります。
いやはや、この映画とてもよく出来ていますよ。そして美しい。
1960年代中半のアメリカが舞台。大学のイギリス人の英文学の教授(?)の恋人男性の死により、後追い自殺をする一日が、この映画のストーリー。
60年代ファッションの最先端が美麗にちりばめられたライフスタイルがオシャレで、なによりも主人公のコリン・ファースの身のこなしから会話のセンスまで、とてもクールで知的。その中で、美しき男性同士の恋愛・・・が演じられていく。
そして、よろしかった観賞後の余韻が続くうちに、もう一度、くだんの映画のポスターとチラシをじっくり読んでみる。
監督トム・フォードは、グッチとイヴ・サンローランのクリエティブのトップだったのかー。ていっても、この手の知識にはまるで疎い自分ですので、家に帰ってから調べてみました。なるほど、よくわからんけどいろいろ賞をもらっている敏腕デザイナーさんなんですね。自分の名前を冠した「トム・フォード」というブランドも出しています。
あ、このブランドのオフィシャルサイトに出てくるモデルの一人は、本作品でカルロスという名前の役者志望のスペイン人役の人ですよね、きっと?
この映画の制作も自分の会社でやっているようですね。そのサイトによれば2005年立ち上げとのこと。
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オシャレでスタイリッシュな映像がこれでもかと続き、そして美男が立て続けに主人公の前に現れるファンタジーなお話でありながら、多少強引なオチながらも悲劇に仕立てたあげてあります。
なかなかの秀作。
大学生の男の尻、ジェームス・ディーンを気取ったスペイン人のエッチな物腰、ベッドの上での男同士の痴話ケンカ、これらが実に自分には普通に優しく観ることができました。もう、そんなこと言っている時代じゃないということですかね。
昨年の「ミルク」以来の不思議で心地よい体験でした。

この監督の次作にも期待します!
FWF評価:☆☆☆☆★

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