Joni Mitchell “God must be boogie man”
“Mingus”
より
このアルバムはJoni Mitcellの作品なのであるが、自分にとってはそれよりも、全編でベースを弾いているJaco Pastriousの作品なのである。
よって、この曲について書くということは、「天才」という言葉は、ベースの世界ではこの人にしか当てはまらないだろうと思わせる革新性をもち、強引に自我を主張し続けて、まるでイカロスのようにあっというまに失墜したJaco Pastriousについて語ることになる。
Jaco Pastrious、フロリダの若きパンク野郎。
それがどういうわけか、天才的なベースプレイヤーになった。
フェンダーのベースのフレットを自分で引っこ抜きパテで溝を埋めて、アコースティックベースのようにして指板にワイヤーの弦を押し付け、巧みにためてスライドさせるその音は、全く異色の音であった。
彼のソロアルバムは“ジャコ・パストリアスの肖像”
は、ドナ・リーからはじまる。
ドナ・リー!
チャーリーパーカーの難曲。しかもそれをベースソロ!
しかし、超速のパッセージとハーモニックスフレーズ。
さらにフレットレスならではの独自のロングトーン。
まさに、革新だった。
「オレは世界で一番うまいベーシストだ」と、ウェーザーリポートのジョーサビヌルに迫ったという全く無名時代のJacoだが、彼の脳内には、それが妄想ではないという確証させるコンセプトが渦巻いていたに違いない。
そのウェザーレポートに加入して、いくつかの仕事を重ねて名声はすでに天井に上り詰めた勇者であった。
自分にとって、ジャコの最高傑作のアルバムは、ソロアルバム“ワード・オブ・マウス”
(口承伝説)
暴走し続ける私生活と暴力的なまでの壮絶のソロラインから想像されるものとは全く別の人格。
美しいトゥーツシールマンのハーモニカをフューチャーした”three views of secrets”と控えめながら存在感をあらわにする伸びやかで飛翔するようなベースフレーズ。”Jonn and Mary”の優しさ、そして巧みさ。
ビートルズから吼えるようなディストーションフレーズのジミヘンドリックスまでを駆け抜ける。
そこには必死さはみじんも感じられない。達観のベース奏法。
ジャコのベースプレイは、彼のデビューからすでに出来上がっていた。
すでに創造は最初から終わっていた。
彼は最初から「晩年」を迎えていたプレイヤーだった。
そして、逆にそこから遡行するように私生活は酒とドラッグで破綻しつづける。
マンハッタンの路上でベースを弾き、最後にはそのベースも売り払う。
路上生活、留置所、精神病院。
マンハッタン6thアヴェニューとウエスト4thストリートのバスケットボールコートに行けばジャコに会えた。
彼は路上生活者になっていたからだ。バスケットボールコートでの生活に身を落としながらも、彼はだれかれかまわず話しかける。
「ジミヘンドリックトと自分が一緒に、素手で世界貿易センターを建てたんだ!」
そしてアメリカの誕生日を祝うと7月4日にイーストリヴァーに飛び込み、ずぶぬれのままバスケットコートの隅で子供のように身を丸めながら3日ぶりに睡眠する。
ジャコの死はそして突然来たのではない、ゆっくりとした自殺の過程をジャコの没落に立ちあったものはすべて見させられてきたのだ。ヴェトナム難民であったアジア人のバーのバウンサーに絡んだジャコは、そのマーシャルアーツの使い手である25歳と乱闘し、頭部打撲のうえ眼球は破裂した。死んだのはそれから一週間後だった。
”God must be boogie man”は、Joni Micthellの”Mingus”収録。
ミンガスとは、ベーシスト、チャールズミンガスのこと。
ミンガスの追悼アルバムであるこの曲だが、Joni Mitchellの歌伴に徹するジャコの追悼曲のように自分は聴く。
He is three
One’s in the middle unmoved
Waiting
To show what he sees
To the other two
To the one attacking so afraid
And the one that keeps trying to love and trust
And getting himself betrayed
In the plan oh
The divine plan
God must be a boogie man
One’s so sweet
So overly loving and gentle
He lets people in
To his innermost sacred temple
Blind faith to care
Blind rage to kill
Why’d he let them talk him down
To cheap work and cheap thrills
In the plan oh
The insulting plan
God must be a boogie man!
Which would it be
Mingus one or two or three
Which one do you think he’d want the world to see
Well world opinion’s not a lot of help
When a man’s only trying to find out
How to feel about himself
In the plan oh
The cock-eyed plan
God must be a boogie man!!
無人島レコード a-2 / Joni Mitchell “God must be boogie man”
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コメント
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Joni Mitchellってロナウドに似てませんかw?
あ、元ブラジル代表の方です。
Jacoのソロで一番はWord of Mouthに同意です。
WeatherではNight Passageが癖になりますです。
まさか清さんが、Jacoに言及していようとは(偶然見つけた:ブログの過去ログで見た事が無かった)