「ポンヌフの恋人」公開20周年記念のデジタルリマスター版ということで観てまいりました。
キネカ大森で「トスカーナの贋作」と二本立て。ザ・役者バカ、ジュリエット・ビノシュの新旧アソートですね。
この「ポンヌフの恋人」は言うことありません。大好きです。
疾走するモダン・ラブです。ロマンスなんてロマンチックなものじゃないんだ!そういう映画です。
「ポーラX」から長編ありませんが、まさか監督レオス・カラックスは路上生活者とかしてませんよね(笑)
次回作、待ち続けています。
で、そんなことよりも、ショックな出来事が!
ラストの名セリフ「目覚めよ、パリ!」の字幕が変わってたんです。
デジタルリマスター版は、目覚めよ!ではなく「まどろめ、パリ!」
180度違うセリフの意味に、パリならず自分までもどっちがいいのかわからず眠れなくなりました(笑)
ちなみに、この「ポンヌフの恋人」は、ビノシュの意向で、最後はハッピーエンドな結末になっていますが、ドニ・ラヴァンのアレックスの恋が成就されないラストもあったらしいです。
ただ、このセリフの違いは、それとは違う模様。
あー、気になる!!!
パリの街なかでの『不眠』をモチーフにした映画にあてられて、こっちまで不眠では仕方ないだろうということで、2006年版のDVDを取り寄せてみました。
が、さらに衝撃!
このDVDでは、肝心の最後のセリフにはなんと字幕がついておりません(笑)
どういうこっちゃ!と思い、ネットで検索してみても手掛かりはありません。このデジタルリマスター版を観た人たちがやはり「目覚めよ、パリ!」から変わっていることに気付いたようで、口ぐちに違和感を表明しているだけです。
で、仏文科卒業でありながら、全くフランス語は苦手な(笑)自分ですが、DVDでラストシーンを何度も観かえして、なんとなくわかってまいりました。
ラストのセリフは”Ne ******* pas bien, Paris!”です。
****のところが自分の語学力ではわからないわけですが、これは命令法否定形です。
つまり、×××するな!ということです。
se reveiller 目覚める
おそらく、”Ne vous(te) réveillez pas bien”
つまり起きているな!というセリフだったのが正解かと。
(この方もほぼ同一見解)
それなのに、最初の劇場公開時の翻訳者が、どういうわけか、Ne を聞き洩らして「目覚めろ、パリ」と誤訳して1991年に公開してしまったというところではないか。
これが真相なのではないかと推測しております。
で、その後の展開なんですが・・・・
【推測】
劇場版で誤訳
↓
劇場公開時に気付く(指摘があった?)
↓
だけど「目覚めよ、パリ」の誤訳が評判になってしまった
↓
それなら夢をこわさずバックれとこう
↓
VHSビデオでは「目覚めよ、パリ」(らしいです)
↓
DVD発売のあたりでさすがにヤバイと思う
↓
けど、波紋を呼びそうなのでDVDでは逃げて字幕をつけない
↓
リマスター版(翻訳者が違うのでは?)ではさすがに訂正
こんな流れなのでは?
自分の語学力の問題ありますので、おおよそ推定になりますが、こんな結論ではないでしょうか。
先に書いたとおり、「不眠」が重要な意味をもつ映画です。
夜に眠れない人が、都市の中で味わう静謐と孤独。
ラストシーン、そんなパリから脱出する二人。
「パリよ目覚めよ!」だと、こうしてデジタルリマスター版を観ると、確かに少し無理があるかもしれないですね。
だって、目覚めてもらったら困るわけですよ、その間に脱出してしまうわけですから。
ビノシュのミシェルのダンナ(?)も、寝ててもらわないとね。
そんなわけで、なんとなく解決つきました。
やっとまどろむことができそうです(笑)
追記:フランス語堪能な方、DVDありますので貸します。最後のセリフ、聞き取ってください(笑)
コメント
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まだ確認してないや…(^_^;)
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トラックバックありがとうございます。
「ポンヌフの恋人」の最後のセリフ「目覚めよパリ」について分かりやすい説明ありがとうございます。
原文から考えると「目覚めよパリ」は誤訳なんですね。多分皆が寝ている間に逃げ出そうという感じで「パリよ。目を開けるな」みたいな感じのセリフで、「目覚めよパリ」とは全く逆の意味だったんだろうなぁと説明を読んで思いました。ただ「まどろめ。パリ」はいいセリフでは無かったですね。
ボク自身としては誤訳の「目覚めよパリ」というセリフがいいと思っています。あのシーンは、「ルンプロでもムショ帰りでも金が無くても愛する人さえいればいいじゃないか。その事にパリの人たちよ気づけ」とジュリエット・ビノシェが言っているようにもみえるからです。
「ポンヌフ」はボクがすべての映画の中で一番好きな映画なので、多くの人に観てもらいたい作品です。
それでは失礼いたします。
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失礼を承知で進言しますが、この記事における分析は間違っておられます。『ポンヌフの恋人』の最後のシークエンスにおけるJuliette Binoche の台詞は、"Tu peux rester au pieu,Paris!"であります。