静岡県の農村の選挙買収を告発した女子高生の一家が、その正しい行いゆえに村から疎外されていったことから始まる、民主主義の教科書のような物語。
村八分のような封建主義的遺制をめぐって、学校や報道といった戦後民主主義を背負って立つ存在が、これらを克服するため光り輝いている姿を映画が描き出す。
背景には、あたかもこれが戦後日本の現実だといわんばかりに、青い空に富士山は聳え立っている。
この民主主義が希望をもたらす光り輝く存在だった頃ならではの映画ではある。
シャープにまとまった良作の映画である。
新藤兼人の脚本はソリッドで、加えて宮島義勇のカメラが冴え渡る。
中原早苗はこの作品がデビューにして主演となる。 この時齢16歳。
知的で活発であり、信じるところがあれば社会に対して拮抗できる心情をもった少女を見事に演じている。
1953年の独立プロ、近代映画社と現代ぷろだくしょんの製作。
池袋新文芸座「『女優魂 中原早苗』出版記念 中原早苗・深作欣二特集」にて。
戦後民主主義がキラキラと輝く頃 / 「村八分」 吉村公三郎・今泉善珠
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