「聖母観音大菩薩」 若松孝二

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聖母観音大菩薩 – goo 映画
70年代のフィルモグラフィーや役者の出演歴はいい加減なものが多い。
マニアがいないからだろう。やはりこの時代は映画不遇の時代である。
浅野温子の映画デビュー作も記録は混乱しているのだが、どうやらこの作品ではなさそうである。
映画デビューは、おそらく1976年東宝の山口百恵の文芸ものアイドルプログラムピクチャ『エデンの海』。本作『聖母観音大菩薩』は二作目にあたる。ただし、助演女優としてフューチャーされたのはこの作品が初。
なんということか、浅野温子は若松孝二に見出されたということか!
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16歳の浅野温子はここで裸になったが、危な絵の映画『愛のコリーダ』で世界に名を轟かした濡れ場女優の松田英子と共演であれば、鬼の若松の説得もスムーズにいったであろう。
さらに、石井聰亙のデビュー作『高校大パニック』で一挙に名をあげる。
一方の監督若松孝二は、前年に『愛のコリーダ』で松田英子を起用したばかり。
海沿いの神社に奉仕する女。人魚を遠い昔に食べてしまったため、不死の存在と自分ではいうのだが、まわりは頭のおかしい女と相手にしない。
海岸に小屋掛けした老人と愛欲の生活をとりむすぶが、その老人が死んでから、様々な男が女のもとに現れる。
誰にでもエッチをさせてくれる女が聖なる神性の存在であるというスタート地点から、そこに引き寄せられるように集まってくるのは、原発・アイヌ・テロ・ハンセン病などの問題をそれぞれ抱えた男たち。主演の松田英子は、『愛のコリーダ』からそのまんまの、微妙なオカメな日本人顔で、その男たちに奉仕していく。
ムリくりで強引な映画の運び方は若松孝二のいつものことだから多めに見るとしても、なんともはや、興奮できないエロス(松田英子ですし・・・)と錯乱したテーマに、ひたすら観る側は蹂躙される映画であります。
タイトルからして、聖母+観音+大菩薩ですもんね。ごちゃっといろいろ詰め合わせて、人魚を食らった伝説に筋をまとめて、ハイどうでしょう!という感じですか。
渋谷シネマヴェーラ特集「ATGの光芒」にて。

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