近年の英国宮廷モノの中では一番・・・ / 「ヴィクトリア女王 世紀の愛」

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大英帝国の最盛期はビクトリア女王の治世、すなわち1837年から1901年。
日本の歴史に重ねると、江戸幕政が綻びを見せ始め大塩平八郎の乱が起きた年から、日露戦争直前の北京議定書の調印から日英同盟の交渉が開始される年まで。
エリザベス時代に欧州の覇権の一角を築いたうえで、産業革命により一大工業国家となり、アジアに至るまでの世界帝国をつくりあげた時代である。
この映画は、そのヴィクトリア女王の映画であり、特に即位する前後の若き日のヴィクトリアの姿のみが描かれる。オリジナルタイトルは、”THE YOUNG VICTORIA”
英国の貴族ものと皇室ものというのは、なんでだろう定番的な素材なのであろうか。
特に近年のその時々の一流どころを主役に据えてのリリース・ラッシュ。
去年だったら、ナタリー・ポートマンとスカーレット・ヨハンソンの「ブーリン家の姉妹」、キーラ・ナイトレイの「ある公爵夫人の生涯」、ケイト・ウインスレットの「エリザベス・ゴールデンエイジ」は、その前の年。
それぞれに面白みはあるものの、この映画は一番平坦で差しさわりのない物語。
若き日のヴィクトリア女王に焦点をあてているから、複雑な政治模様も、おきゃんな娘と恋人の痴話話の中で消化されていったりするし、ロケも華麗なる宮殿の一室でのみ行われている印象。
その治世の時代のイギリスの凄まじいパワーで展開されるカオス的な政治と経済と軍事の歴史模様が、そういうレベルで語られていくのは、なんだかもったない気もします、残念ながら。
衣装や女優の美しさにしても、前述の最近のイギリス皇室・宮廷ものの中では、一番こじんまりとしております。
かさねて、エミリー・ブラントの柔らかい肌質は、なんとなく貴族・皇族には似合わず。
サンシャイン・クリーニング」や「プラダを着た悪魔」のような、ナイーブで弱さをさらけ出していながら、小さく棘を見せている・・・そんな微妙な役どころが自分は好きです。
この作品では、ケイト・ブランシェットやキーラ・ナイトレイみたいな強さがほしいところなんでしょう、映画的には。そういう意味で、ミス・キャスト。
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全体としていろんな意味でスケールが小さく、銀座のTOHOシネマシャンテ他、全国6館で公開中という、まあそういう話の映画でしょう。
FWF評価:☆★★★★

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